ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2012-01-19 21:09:02 |
株式会社交通新聞社
書 名 : 交通新聞社新書034 鉄道医走る お客さまの安全・安心を支えて 発行日 : 2011年10月14日 第1刷発行 著 者 : 村山隆志 発行者 : 山根昌也 発行所 : 株式会社交通新聞社 http://www.kotsu.co.jp/ 印刷・製本:大日本印刷株式会社 図書符号: ISBN978-4-330-23811-1 産業医とは企業の従業員の健康管理を行なう医師のことだが、公共交通を運営し、乗客の命を預かる鉄道会社では、一般企業でいう産業医のことを特別に「鉄道医」と呼んでいる。重大な事故を防ぐための、運転士をはじめとする従業員の健康管理には、一般企業の産業医とは違った独自の視点と手法が必要なのだ。本書は、JR東日本で「鉄道医」として従事した経験をもとに、安全を脅かすヒューマン・リスク・ファクターについて考える。 「はじめに」より 皆さんは、平成の二・二六事件という出来事をご存じでしょうか。 それは、平常運転をしていた新幹線の運転士が居眠りをしてしまったことに関係するものですが、その運転士の居眠りは、彼の不注意・過失というよりも、病気によるものだと後に判明したのです。 そのことについて、平成15年度(2003)の「交通安全白書」概要のトピックスには平成15年2月26日の出来事として次のように書かれています。 「山陽新幹線の運転士が、福山駅を定時発車後、所定速度で運転中に約8分間居眠り状態となり、岡山駅に到着した際、新幹線がATC(自動列車制御装置)の動作により所定停車位置の約100メートル手前で自動停止するという事案が発生した」 2月26日に起きた事件、つまり、平成の二・二六事件なのです。この事件は、鉄道の安全に関わる社員たちにとっては、大きな問題をはらんでいました。 村山隆志(むらやま・たかし) 鹿児島県出身。昭和40年北海道大学医学部医学科卒業、昭和55年中央鉄道病院(現・JR東京総合病院)小児科部長、平成7年JR東日本中央保健管理所(現・JR東日本健康推進センター)所長、平成17〜21年社会福祉法人東京弘済園常務理事・園長 現在、北海道大学小児科非常勤講師、ルーテル学院大学非常勤講師、労働衛生コンサルタント、日本小児科学会専門医、日本心身医学会指導医、心身医療(小児科)専門医、日本心療内科学会登録医、日本小児心身医学会指導医 目次 はじめに………3 第1章 鉄道員と「鉄道医」 I 産業医とはどんなお医者さん?………14 一 産業医とは………14 二 なぜ、産業医が必要なの?………16 三 産業医の始祖………21 II 産業医と鉄道医………22 一 鉄道の安全装置………22 二 運転士に求められる資質………24 三 ヒューマン・リスク・ファクター………27 四 運転士免許………28 五 鉄道医たちの責任と連携………29 六 鉄道自殺………33 七 衛生試験………35 III 国民病「結核」との戦い………38 一 結核と鉄道員………38 二 結核の治療………41 三 結核で若くして命を失った人々………47 四 結核対策への先人の努カ………48 五 結核対策から職業病予防へ………50 六 古くて新しい病気「結核」………51 七 近年の結核対策………52 IV 鉄道医の日常………56 一 運転士の医学適性検査………57 二 睡眠時無呼吸症候群(SAS)………63 三 (心的)外傷後ストレス障害(PTSD)………71 四 生活習慣病………83 五 アルコールとたばこ………86 第2章 鉄道医への道のり I 医師への動機………96 一 揺藍期………96 二 小学生時代………102 三 中・高生時代………105 四 大学生時代………107 五 インターン時代………115 II 小児科医として………117 一 新人時代………117 二 ドイツ留学時代………125 三 東京に来てから………134 III 鉄道医への転身………142 一 中央保健管理所に移って………143 二 鉄道の産業医から鉄道医へ………147 三 JR東日本健康推進センターへ………148 第3章 今後の交通医学の課題 一 大麻・麻薬等の汚染………154 二 医学の進歩と職業運転士………155 三 交通システムの進歩と医学適性………156 四 駅構内での衛生管理………157 五 高速鉄道と感染症対策………157 六 医学適性検査の基準作り………158 七 過去にさかのぼっての問題………159 おわりに……鉄道医を引退して………164 余章 閑話休題 一 日本の将来………170 二 想像力………188 三 チップ制度の功罪………191 コラム 白蝋病…18/騒音性難聴…19/石綿…20/動力車…26/鉄道と女性社員…32/自殺…34/DDT…37/ガフキー…46/DOTS…55/皇紀…100/柑皮症…101/LARA物資…105/B円…114/Rファクター…124/仕業点呼の重要性…162 参考文献………194 |
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