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No.1985 【交通新聞社新書036】ダムと鉄道 一大事業の裏側にいつも列車が走っていた
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2012-01-10 17:48:17
株式会社交通新聞社


書 名 : 交通新聞社新書036
      ダムと鉄道
      一大事業の裏側にいつも列車が走っていた
発行日 : 2011年12月15日 第1刷発行
著 者 : 武田元秀
発行者 : 山根昌也
発行所 : 株式会社交通新聞社 http://www.kotsu.co.jp/
印刷・製本:大日本印刷株式会社
図書符号: ISBN978-4-330-25711-2


日本列島にはダムを建設するために造られた鉄道が多数ある。人気の観光路線として知られる黒部峡谷鉄道は黒部川水系の発電所工事のために施設されたものであるし、JR只見線の会津川口〜只見間は田子倉ダム建設のために、また、大井川鐵道井川線のアプト式区間は長島ダムとのかかわりの中で誕生した。本書は、日本におけるダムと鉄道の密接な関係を、写真や建設資料とともに紹介する異色の現地レポートである。

武田元秀(たけだもとひで)
1960年、福島県郡山市で建設業者の長男に生まれる。県立安積高校、早稲田大学法学部卒業。五洋建設、朝日新聞社勤務を経てフリ−。記者時代は大津支局で滋賀県警担当として信楽高原鐵道列車衝突事故、新潟支局でC57 180号機の復活や、奥只見・大鳥発電所増設工事を取材。名古屋、東京本社で旅行・情報関連紙面の編集デスクなどを務めた。本書が初の「著書」となる。

目次

まえがき…………3

第1章 黒部ダム−黒部峡谷鉄道・関西電力黒部専用鉄道
「乗客の安全は保証致しません」から、年間100万人乗車のトロッコ列車へ。
 一般公募されている「黒部ルート見学会」…………17
 「黒部奥山電源開発の起点」とされたJR黒部駅…………21
 アーチ式ダムに通じる、江戸期の架橋工事…………23
 引き湯によって開発された宇奈月温泉街…………27
 いまも工事関係者専用列車を多数運行…………29
 ダムによる水没で付け替えられた新線区間…………30
 宇奈月温泉の源泉地と、出し平の排砂ダム…………32
 昭和初期の「自然保護運動」とのせめぎ合い…………34
 「普通は乗れない」、棒平から先のトンネルへ…………37
 日本一、4.5トンを一気に引き上げるエレベーター…………39
 岩盤温度が160度に達した「高熱隧道」…………42
 「十字峡」を保全した戦前の自然保護運動…………45
 地表から150メートル下の巨大な地下空間…………49
 34度の急傾斜を上下する積載能力25トンのインクライン…………52
 「黒部ルート」終端部、黒部トンネルを走る…………55
 黒四工事で失われた171人の「尊きみはしら」…………60
 映画『黒部の太陽』に描かれた関電トンネル掘削工事…………63

第2章 白岩砂防ダム−立山砂防工事専用軌道
崩落カルデラ内に潜む、知られざる610ミリゲージの38段スイッチバック。
 「永遠に終わらない」立山砂防工事…………71
 「当選しても乗れない」確率40%…………75
 「知られざる立山」を紹介するカルデラ砂防博物館…………77
 いきなりの4段スイッチバック…………79
 路線改良で姿を消したオーバーハング区間…………82
 はるか眼下に連なる砂防ダム…………86
 線路にカモシカも現れた18段連続スイッチバック…………90
 国内最大の白岩砂防ダム、落差108メートルの迫力…………97
 幸田文が記した「崩れ」の凄まじさと現場関係者の優しさ…………103
 「体験学習会」の締めは有峰ダム…………107

第3章 長島ダム・井川ダム−大井川鐵道井川線
水没・廃線の危機から発想転換、「アプト式」新設でよみがえった観光路線。
 ダム建設の工事専用線として開通…………113
 「河原砂漠」と嘆きの声も…………114
 大井川本線沿線にも点在する発電施設…………119
 ダムの上を走った森林軌道…………122
 大井川水系電力発祥の地・川根小山…………124
 廃線跡は「ミステリートンネル」遊歩道に…………130
 90パーミルを押し上げるアプト式電気機関車…………133
 「地域に開かれた」長島ダム…………136
 国内1位の高さを誇る関の沢橋梁…………139
 日本初の中空重力式、その名は「井川五郎ダム」…………143
 無料の「遊覧渡船」が結ぶ井川本村…………147

第4章 奥只見ダム・田子倉ダム−JR只見線
電源開発の「発電所建設用専用鉄道」から、国鉄に移管された政治路線。
 200キロにわたる「ダム湖の連なり」…………153
 18キロのトンネルが続くかつての工事専用道路…………155
 イヌワシが舞う大鳥ダム…………160
 大イワナがよみがえった奥只見の渓流…………164
 「只見田中線」で県境を越える…………167
 32キロの国鉄規格の発電所建設用専用鉄道…………169
 只見湖のほとりの廃線跡を歩く…………171
 ほかのダム水没路線から移された橋げた…………174

第5章 佐久間ダム−JR飯田線
巨大ダム建設で付け替えられた「渡らずの鉄橋」など、18キロに及ぶ迂回区間。
 日本の工事手法を大転換させた佐久間ダム建設…………181
 末成の「国鉄佐久間線」ルートに沿って天竜川を遡る…………185
 地盤の悪さが指摘された船明、秋葉ダム…………188
 狭いトンネル内をダンプにおびえてダムへと歩く…………192
 国際入札で行われた、ダム・発電所建設工事…………197
 周波数変換所や「海人族」の謎、アニメの舞台にも…………202
 「渡らずの鉄橋」とアイヌ民族の測量技手…………206

第6章 八ッ場ダム−JR吾妻線
昭和27年以来、「ダムに沈む」とされている、吾妻峡、川原湯温泉と線路の60年史。
 一度はダムを断念させた強酸性の草津の湯…………215
 八ッ場ダム建設を可能にした中和工場と品木ダム…………218
 新旧の「第二吾妻川橋梁」と日本最短のトンネル…………221
 きつい道のりが続く吾妻渓谷遊歩道…………225
 高さ116メートルの重力式ダム建設予定地…………229
 観光客でにぎわう広報センター「やんば館」…………231
 若山牧水が愛した川原湯温泉…………233

第7章 消えた「ダムと鉄道」
 国鉄士幌線(糠平ダム)…………242
 三菱石炭鉱業大夕張鉄道・下夕張森林鉄道(大夕張、夕張シューパロダム)…………247
 東京都専用線小河内線(小河内ダム)…………252
 庄川水力電気専用鉄道(小牧ダム)…………255

あとがき…………262
参考文献…………264
撮影日:
撮影場所:
キャプション:
画像サイズ: 315×500(原寸表示)