ほりうち(ccbu8181) 2015-04-29 23:44:40 |
1.経営成績・財政状態に関する分析
(1)経営成績に関する分析 当社グループは、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、サービスの一層の充実を図るとともに、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化等の取組みを続け、収益力の強化に努めました。 また、昨年10月の「東海道新幹線開業50周年」を機に、これまで東海道新幹線をご利用いただいた数多くのお客様へ感謝の気持ちを込めて、お得な記念商品を発売したほか、当社グループを挙げて50周年を記念したイベントの開催や商品の販売を行いました。 東海道新幹線については、平成25年度に着手した大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を引き続き推進したほか、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、需要にあわせたより弾力的な列車設定を実施しました。また、本年3月に最高速度285km/hへの速度向上を実施するとともに、新型車両N700Aの投入及びN700系改造工事を進めるなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。 在来線については、高架橋柱の耐震補強等の地震対策、落石対策、踏切保安設備改良、津波対策等を計画的に推進しました。また、平成21年度より武豊線の電化に向けて工事を進めてきましたが、本年3月に電化開業し、利便性のさらなる向上に努めました。 営業施策については、エクスプレス予約等の会員数・ご利用拡大に向けた取組みを引き続き推進するなど、積極的な展開に取り組みました。 超電導磁気浮上式鉄道(以下「超電導リニア」という。)による中央新幹線については、第一局面として進める東京都・名古屋市間において、環境影響評価法に基づき、環境アセスメントの手続きを進め、昨年8月に最終的な環境影響評価書(以下「評価書」という。)を国土交通大臣及び関係自治体の長に送付するとともに、公告しました。また、環境アセスメントの手続きと並行して、全国新幹線鉄道整備法に基づく工事実施計画の認可申請に必要な準備を進め、評価書の送付と同日に、国土交通大臣に対し中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その1)の認可申請を行い、10月に認可を受けました。その後、沿線の全市区町村において中央新幹線に関する理解を一層深めていただくための事業説明会を12月までに開催するとともに、地区ごとの事業計画等、地域に密着した内容をきめ細やかにご説明するため、自治会等の単位でも事業説明会を順次開催しました。また、12月に、品川駅、名古屋駅において、全線での工事の安全を祈願し、かつ安全な工事遂行を誓うという意味を込めて工事安全祈願式を執り行い、準備工事に着手しました。さらに、本年3月には、路線の中心位置を明らかにするための中心線測量を名古屋駅周辺で開始しました。それらと並行して、用地取得に関する委託協定を沿線自治体等と締結するとともに、一部区間の施工委託等に関する基本協定を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構と締結しました。 一方、山梨リニア実験線においては、営業線仕様の車両、設備により、最長12両編成での長距離走行試験を実施するとともに、超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みました。また、昨年11月、12月及び本年3月に「超電導リニア体験乗車」を実施し、多くの方に速度500km/h走行を体験していただきました。 海外における高速鉄道及び超電導リニアプロジェクトへの取組みについては、絞り込みを行った対象路線における事業化に向けたマーケティング活動に取り組みました。また、台灣高速鐵路股イ分有限公司から受託した技術コンサルティングを実施しました。さらに、東海道新幹線の開業50周年を機に、昨年10月に高速鉄道国際会議を一般社団法人国際高速鉄道協会、西日本旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社の3者と共同で開催するなど、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを推進しました。 鉄道以外の事業においては、ジェイアール名古屋タカシマヤについて商品力・販売力を高めるなど既存事業の強化に努めるとともに、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画を着実に推進しました。 さらに、経営体力の一層の充実を図るため、安全を確保した上で設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化の徹底に取り組みました。 上記の結果、当期における全体の輸送実績(輸送人キロ)は、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから、前期比1.9%増の592億3百万人キロとなりました。また、営業収益は前期比1.2%増の1兆6,722億円、経常利益は前期比5.9%増の4,281億円、当期純利益は前期比3.3%増の2,641億円となりました。 これをセグメントごとに示すと次のとおりです。 @ 運輸業 東海道新幹線については、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、不断のコストダウンを重ねながら大規模改修工事を着実に進めるとともに、脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策に取り組んだほか、新幹線車両の全般検査(オーバーホール)を担う浜松工場について、耐震性向上等を目的とするリニューアル工事を推進しました。さらに、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、夏季や年末年始等の多客期間を中心に過去を上回る本数の列車を運転するなど、需要にあわせたより弾力的な列車設定を実施し、本年1月4日には過去最多の約46万6千人(東京口)のお客様にご利用いただきました。3月には、最高速度285km/hへの速度向上を実施し、東京〜新大阪間の所要時間を最短2時間22分に短縮するなど利便性を向上させるとともに、異常時等におけるダイヤの安定性を向上させました。また、新型車両N700Aの投入及びN700Aの機能(中央締結ブレーキディスク、定速走行装置の搭載等)を反映するためのN700系改造工事を推進しました。加えて、お客様のご利用の多いのぞみ停車駅への新型可動柵の設置工事を進めるとともに、新型自動改札機への取替を進めるなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。 在来線については、高架橋柱の耐震補強等に加え、在来線車両の全般検査等を担う名古屋工場の耐震化工事などの地震対策を引き続き進めるとともに、落石対策、踏切保安設備改良、津波対策等を計画的に推進しました。また、名古屋地区における東海道本線の運行管理システムの取替を完了しました。さらに、本年3月の武豊線電化開業及び高山本線、太多線への新型気動車の投入など、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。なお、昨年7月9日の大雨により被災した中央本線(坂下駅〜野尻駅間)及び10月6日の台風18号により被災した東海道本線(由比駅〜興津駅間)について、それぞれ早期復旧に取り組み、中央本線については8月6日、東海道本線については10月16日に運転を再開しました。 営業施策については、「東海道新幹線開業50周年」を機に、感謝の気持ちを込めて、お得な記念商品として「超☆超IC早特」等の発売や「東海道沿線への旅」等の設定を行うとともに、エクスプレス予約やプラスEXサービスの会員数の拡大に向けた取組みを強化しました。また、沿線自治体と連携して「高山本線全線開通80周年」及び「御殿場線80周年」の企画を展開しました。さらに、京都・奈良、東京等の観光資源を活用した各種キャンペーンや、これと連動した旅行商品の設定や拡充を実施したほか、「Shupo」等の地域と連携した取組みを通じお客様のご利用拡大に努めました。加えて、北陸新幹線の金沢開業を契機に、東海道新幹線と高山本線や北陸本線を利用した周遊型商品を設定するなど、積極的な営業施策を展開しました。そのほか、TOICAについて、電子マネー加盟店舗の拡大に取り組むとともに、東海道・山陽新幹線の車内販売において電子マネーご利用サービスを開始しました。 当期における輸送実績(輸送人キロ)は、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから、東海道新幹線は前期比2.6%増の501億3千4百万人キロ、在来線は前期比1.7%減の90億6千9百万人キロとなりました。 バス事業においては、安全の確保を最優先として顧客ニーズを踏まえた商品設定を行い、収益の確保に努めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比2.3%増の1兆3,056億円、営業利益は前期比2.6%増の4,720億円となりました。 A 流通業 流通業においては、ジェイアール名古屋タカシマヤについて、売場のリニューアル、魅力ある品揃えや、お客様のニーズを捉えたサービスの提供に取り組んだほか、バレンタインデーにあわせた催事を開催するなど、収益力の強化に努めました。また、「東海道新幹線開業50周年」を記念したイベントの開催や記念弁当等の商品の販売を行い、増収に努めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比5.9%増の2,338億円、営業利益は前期比8.7%増の89億円となりました。 B 不動産業 不動産業においては、名古屋駅におけるJRゲートタワーの建設を着実に推進するとともに、開業に向けて事業内容の具体化及びテナントリーシング等を積極的に進めました。また、駅の商業施設においては、「キュービックプラザ新横浜」、「アスティ静岡」、「アスティ岐阜」等でリニューアルを行うとともに、「東海道新幹線開業50周年」を記念したイベント等を開催するなど、お客様の拡大に取り組みました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比1.2%減の665億円、営業利益は前期比20.1%増の166億円となりました。 C その他 ホテル業においては、「東海道新幹線開業50周年」を記念したプランなど魅力ある商品の設定及び販売力強化に取り組むとともに、海外からのお客様の増加にも応じたより高品質なサービスの提供に努めました。 旅行業においては、「東海道新幹線開業50周年」企画と連動した旅行商品をはじめ、京都・奈良、東京等の各方面へ向けた観光キャンペーン等と連動した魅力ある旅行商品を積極的に販売するとともに、インターネットを活用した販売に努めました。 鉄道車両等製造業においては、鉄道車両や建設機械等の受注・製造に努めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比4.6%減の2,389億円、営業利益は前期比21.7%減の82億円となりました。 次期については、引き続き鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、地震対策、土木構造物の大規模改修工事、N700Aの投入及びN700系改造工事、在来線気動車の取替等を着実に推進します。また、超電導リニアによる中央新幹線計画について、計画から建設という新たな段階に入り、安全と環境、地域との連携を重視して着実に取り組みます。さらに、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画や海外における高速鉄道及び超電導リニアプロジェクトへの取組みなどを着実に推進します。こうした各種課題を着実に進めるため、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。 次期の業績予想については、以下のとおりとします。 売上高 1兆6,740億円(当期比 0.1%増) 営業利益 5,150億円(当期比 1.7%増) 経常利益 4,450億円(当期比 3.9%増) 親会社株主に帰属する当期純利益 3,030億円(当期比 14.7%増) (2)財政状態に関する分析 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末と比べ545億円増の1,300億円となりました。また、長期債務については、2,202億円縮減し、当期末の残高は2兆1,505億円となりました。 @ 営業活動によるキャッシュ・フロー ビジネス、観光ともに引き続き鉄道のご利用が順調に推移し当社の運輸収入が増加したことなどから、営業活動の結果得られた資金は前期比302億円増の5,708億円となりました。 A 投資活動によるキャッシュ・フロー 資金運用による支出が増加したことなどから、投資活動の結果支出した資金は前期比335億円増の2,639億円となりました。 B 財務活動によるキャッシュ・フロー 社債発行及び長期借入による調達が増加したことなどから、財務活動の結果支出した資金は前期比574億円減の2,522億円となりました。 (3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 当社は、社会的使命の強い鉄道事業を経営の柱としていることから、長期にわたる安定的な経営基盤の確保・強化に取り組むとともに、長期債務の縮減に努め、財務体質の強化を図ることとし、配当についても安定配当の継続を基本方針としています。 この方針に基づき、当期の期末配当については、本年1月に公表した配当予想どおり1株当たり60円とさせていただく予定です。また、次期の配当については、上記の基本方針に則って実施していく予定です。配当支払いについては、従来どおり毎年3月31日及び9月30日を基準日とする年2回の配当を継続することとし、変更は予定しておりません。 |
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