ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2014-07-19 16:22:26 |
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見 (本文) 2.5 人と自然との触れ合い (1)登山者等の利用体験への配慮 南アルプス地域は、登山者等の利用者が当該地の自然を楽しむため訪れる場所となっており、工事関係車両の通行等による騒音や振動等が、キャンプ場等の施設利用者や登山利用者等の利用体験の質の低下を招く懸念がある。このため、工事の実施等に当たっては、これら利用者等の利用実態を把握した上で、工事車両の運行時間、運行ルート等の配車及び運行計画の調整、工事実施の周知等を行い、これら利用者等の利用体験の質への影響を回避、低減すること。 (2)長期間にわたる工事への対応 本事業のうち、南アルプスをはじめ人と自然との触れ合い活動の場であって、工事の期間が十数年にわたる場所については、工事の実施による景観及び人と自然との触れ合い活動の場に対する影響の予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。 2.6 廃棄物等 (1)発生土 @ 発生抑制、現場利用の徹底 トンネル掘削等の工事実施に伴う発生土については、施設の規模等の見直しを含め、発生量を抑制するよう検討するとともに、できる限り場外搬出量を抑制すること。 A 発生土置場の選定要件 今後、新たに仮置場の設置場所を選定する場合については、自然植生、湿地、希少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等、動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い区域、土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁のおそれがある区域等を回避すること。 また、登山道等のレクリエーション利用の場や施設、住民の生活の場から見えない場所を選定するよう配慮するとともに、設置した際には修景等を行い、自然景観を整備すること。 B 発生土の運搬 発生土置場への運搬又は事業場外への運搬について、飛散流出等により周辺環境に影響を及ぼさないよう、必要に応じて流出防止策を実施し、適切に運搬すること。 C 発生土置場の適切な管理 発生土置場での発生土の管理について、濁水の発生防止や土砂の流出防止その他周辺環境に影響を及ぼさないよう、発生土置場ごとに管理計画を作成した上で、適切に管理すること。 また、発生土の管理計画の作成に当たっては、内容について関係地方公共団体と協議し、また、住民への説明や意見の聴取等の関与の機会を確保すること。 D 譲渡先への情報伝達 発生土の譲渡等に伴う二次的な土壌汚染及び自然植生、湿地、希少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等の動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い区域等の改変を防止するため、譲渡先が講じるべき措置を伝達する等の適切な環境保全措置を講じること。 (2)廃棄物 @ 発生抑制の徹底 工事に伴い発生する廃棄物については、できる限りその発生量を抑制するよう、工法等を検討すること。また、供用時に発生する廃棄物についても、その減量に取り組むこと。 A 再生利用の推進 廃棄物については、再生利用の方法や量について明らかにするとともに、それぞれ目標を達成するための方策等を検討し、実施すること。 B 適正処理の推進 工事の開始までに、廃棄物の種類及び発生量に応じた処理方法及び処分先を決定し、廃棄物の適正な処理を行うこと。 2.7 温室効果ガス (1)定量的な目標の設定及び計画的な削減 本事業の実施に当たっては、再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入計画(定量的な削減目標をできる限り設定することを含む。)を策定するとともに、計画的に温室効果ガス排出量を削減すること。 (2)供用時のエネルギーの対策 供用時に調達する電力は、できる限り再生可能エネルギーからの電力とする等の対策を講じるとともに、更なる省エネを徹底しつつ、増加する温室効果ガス排出量を最大限抑制すること。 (3)工事中のエネルギーの対策 工事に伴う温室効果ガス排出量をできる限り削減するよう、工事における省エネや再生可能エネルギーの利用等の環境保全措置を講じること。 (4)本事業者全体の取組の促進 本事業を含め本事業者における温室効果ガス排出削減措置について、再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入計画(定量的な削減目標をできる限り設定することを含む。)を策定するとともに、計画的に温室効果ガス排出量を削減すること。 また、再生可能エネルギーの最大限の導入に主体的に取り組むとともに、省エネルギー化や技術開発等を進めることで、長期的な温室効果ガス排出削減対策に取り組むことにより、温室効果ガス排出量を最大限抑制すること。 (5)他の事業者との連携による取組の促進 本事業者においては、更なる温室効果ガス排出削減を図るため、他の事業者と連携する等、効果的な方策に最大限取り組むこと。 3.その他 ・地元自治体等との連携 事業実施に当たっては、地元自治体の意見を十分勘案し、環境影響評価において重要である住民への説明や意見の聴取等の関与の機会の確保についても十全を期すこと。 (以上) (参考) 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見 (前文) 中央新幹線(東京都・名古屋市間)(以下「本事業」という。)は、東海旅客鉄道株式会社(以下「本事業者」という。)が、東京都港区と愛知県名古屋市の間(約286km(地上部:40km、トンネル部:246km))を超電導リニアにより結ぶものである。本事業は、その事業規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じる環境影響を、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めない。 例えば、本事業のほとんどの区間はトンネルで通過することとなっているが、多くの水系を横切ることとなることから、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い。特に、山梨県から長野県にまたがる地域の一部は、我が国を代表する優れた自然の風景地として南アルプス国立公園に指定されており、また、ユネスコエコパークとしての利用も見込まれることから、当該地域の自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命でもある。 また、本事業の供用時には現時点で約27 万kW と試算される大量のエネルギーを必要としているが、現在我が国が、あらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。供用時におけるエネルギー消費量の低減と調達するエネルギーのグリーン化等を行い、大規模事業者として、温室効果ガスの排出低減に向けて主体的な役割を果たすことが不可欠である。 この他にも、トンネルの掘削に伴い多量に発生する発生土の適正な処理、希少動植物の生息地・生育地の保護、工事の実施に伴う大気汚染、騒音・振動対策等、本事業の実施に伴う環境影響は枚挙に遑がない。 技術の発展の歴史を俯瞰すれば、環境の保全を内部化しない技術に未来はない。このため、低炭素・循環・自然共生が統合的に達成される社会の具現化に向け、本事業の実施に当たっては、次の措置を講じることにより、環境保全について十全の取組を行うことが、本事業の前提である。 なお、言うまでも無く、本事業は関係する地方公共団体及び住民の理解なしに実施することは不可能である。このため、事業の円滑な実施及び供用に向け、本事業の今後の検討及び実施に当たっては、関係する地方公共団体の意見を十分に勘案し、環境影響評価において重要な住民関与についても十全を期すことが必要である。 さらに、国土交通大臣におかれては、本事業者が十全な環境対策を講じることにより、本事業に係る環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう、本事業者に対して適切な指導を行うことを求める。 |
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