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No.8275 (Re:8273) 【国土交通省】中央新幹線に係る環境大臣意見 [各論1]
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2014-07-19 16:22:23
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省

 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見
                  (本文)

2.各論

2.1 大気環境
(1)大気質
@ 環境保全措置の実施
 本事業は、山間部等の比較的清浄な地域で多くが行われることから、工事用車両の運行に伴い排出される大気汚染物質による大気質への影響について、地域特性に応じた適切な環境保全措置を講じること。
A モニタリングの実施
 工事用車両の運行に伴い排出される大気汚染物質による大気質への影響について、モニタリングを実施するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全措置を講じること。

(2)騒音
@ 音源対策を基本とした環境保全措置の検討
 列車走行に伴う騒音について、環境基準の類型指定後の環境保全措置の検討に際しては、より一層の影響の低減を検討するよう、沿線の状況を踏まえた予測及び評価を行い、音源対策を基本として、適切な環境保全措置を講じることにより、環境基準の達成を図ること。
なお、土地利用対策を含む総合的な対策の検討及び実施に当たっては、関係機関との十分な連携を図ること。
A モニタリングの実施
 工事用車両の運行及び建設機械の稼働、供用後における列車の走行に係る騒音等についてモニタリングを実施するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全措置を講じること。
B 走行条件の変更時等における追加的な調査、予測及び評価の実施
 本評価書における予測の前提条件として山梨リニア実験線の結果を利用しているが、供用時における高速化等の走行条件等の変更がある場合は、騒音に係る影響について調査、予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。

(3)振動
@ モニタリングの実施
 工事用車両の運行及び建設機械の稼働、供用後における列車の走行に伴う振動についてモニタリングを実施するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全措置を講じること。
A 走行条件の変更時等における追加的な調査、予測及び評価の実施
 本評価書における予測の前提条件として山梨リニア実験線の結果を利用しているが、供用時における高速化等の走行条件等の変更がある場合は、振動に係る影響について調査、予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。

2.2 水環境(水質、地下水、水資源)
 トンネル部の地下水位データは少なく、山梨リニア実験線区間での河川流量観測結果のみでは、地下水位や水環境に関する予測の不確実性は高い。また、特に山岳トンネル区間には、多数の断層が確認されており、断層や破砕帯等の透水性が高い部分から大量の湧水が生ずる可能性がある。地下水位の低下並びに河川流量の減少及びこれに伴い生ずる河川の生態系や水生生物への影響は、重大なものとなるおそれがあり、また、事後的な対応措置は困難である。
 このことを踏まえ、以下の対策を講じること。

(1)精度の高い予測の実施及び水系への影響の回避
 山岳トンネル部の湧水対策は、事前に精度の高い予測を行った上で対策を検討しておく必要があることから、特に巨摩山地から伊那山地までの区間においては、本線及び非常口のトンネル工事実施前に、三次元水収支解析を用いてより精度の高い予測を行い、その結果に基づき、地下水位及び河川流量への影響を最小化できるよう水系を回避又は適切な工法及び環境保全措置を講じること。
 また、愛知県及び岐阜県については、予測検討範囲内の湿地について、それぞれその水理的な成立要因を明らかにした上で、工事着手までに、トンネル工事が湿地に与える環境影響について予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。

(2)湧水の最小限化等工法の検討
 本線、先進坑及び非常口(山岳部)のトンネルにおいては、防水シートや覆工コンクリートの早期かつ適切な施工、必要に応じて防水型トンネルの施工等を行うこと。
 特に、非常口(山岳部)から本線トンネルに至るトンネルは、地上部から地下の深層まで到達し、その過程で浅層地下水の帯水層や浅層地下水と深層地下水を隔てる不透水層を貫通し、浅層地下水位の低下や河川流量に影響を及ぼす可能性があることから、各非常口(山岳部)のトンネル掘削に際しては、あらかじめ、地下水位の調査を行い、その結果を踏まえ非常口トンネルの防水工の必要性を検討すること。
 また、トンネル掘削時に行う地質調査により得られる実際の断層や破砕帯の状況等の地質情報を環境保全措置の検討に反映させること。

(3)湧水の適正処理
 トンネル掘削により生じた湧水の排水については、工事計画の策定段階で、具体的に排出場所、排出方法並びに水質、水量及び水温の管理方法等を明らかにした上で、適正に処理すること。また、湧水及び処理後の湧水について沢や河川等の表流水に放流することを検討する際には、水質や水量を検討した上で、専門家等及び関係地方公共団体と協議し、できる限り表流水への影響を回避、低減すべく多地点で放流する計画とすること。

(4)事業前後におけるモニタリングの実施
 地下水位の低下及び河川流量の減少が生ずる可能性のある地域として、予測及び評価において設定した予測検討範囲に、断層や破砕帯の性状や連続性を加味した地域において、工事実施前から、地下水位及び河川流量の把握を継続的に行うとともに、工事実施中から工事実施後の適切な時期までモニタリングを実施すること。特に、河川流量の把握については、水系ごとに、流量の少ない源流部や支流部を含む複数の調査地点を設定すること。
 また、地下水位や河川流量に影響が生じている可能性が確認された場合は、まず応急対策を講じた上で、恒久対策としての環境保全措置を講じること。

(5)工事用水の取水の最小化
 工事に伴う沢及び河川等の表流水からの取水は、生態系への影響が懸念されることから、河川流量や生態系に影響が生じない場合のみ行うこととし、みだりに取水することは厳に戒めること。また、取水量が集中しないようにすること。


2.3 土壌環境

(1)地盤沈下
 工事中及び工事完了後において、土被りの小さい山岳トンネル区間で地上に住居等が存在する区間のうち適切な箇所を選定し、一定の期間、地盤沈下に関する事後調査を実施し、地盤変形の程度を把握するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全措置を講じること。

(2)土壌汚染
@ 土壌汚染の可能性がある地域における発生土の汚染状況調査
 本事業に起因する汚染土壌の拡散を未然に防止するため、トンネル工事等に伴う発生土については、自然由来の重金属等による汚染の状況を定期的に調査すること。
 なお、調査頻度については、専門家等の助言を踏まえ決定するとともに、工事着手前までに具体的な計画を策定すること。
A 汚染土壌の適正な管理及び処理
 自然由来の重金属等による汚染のおそれのある土壌については、拡散を防止するため、適切な管理及び処理を行うこと。
B 要措置区域等外の土地の基準不適合土壌の取扱い
 要措置区域等外の土地の土壌であっても、その汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないおそれがある土壌については、運搬及び処理に当たり、土壌汚染対策法の規定に準じて適切に取り扱うこと。