NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.1555 【JR東海】定例社長会見(平成20年12月・東京)
ほりうち(ccbu8181) 2008-12-18 21:44:38
JR東海 ニュースリリース

2008.12.18
定例社長会見(平成20年12月・東京)


■東海道新幹線のインターネット接続サービスの詳細について

 東海道新幹線 N700系の車内インターネット接続サービスについて、詳細が決まりましたのでお話しします。

 東海道新幹線では、現在、N700系の車内で高速走行中にインターネットをご利用いただけるよう、準備を行っています。

 このたび、本サービスについて、対応する公衆無線LANサービスや、ポータルサイトの設置が決定しましたのでお知らせします。

 以前にもお知らせしていますが、新幹線車内の無線LANサービスを提供する公衆無線LANサービス会社と事前にご契約いただいたお客様は、N700系の車内で、無線LANに対応したパソコン等からインターネットをご利用いただけるようになります。

 この方法は東海道新幹線沿線にくまなく敷設してある列車無線用のLCXケーブル(漏洩同軸ケーブル)を使用して、N700系の車内に構築された無線LANのネットワークと地上のインターネットをつなぐため、高速走行中でもインターネットを安定してご利用いただくことができます。

 回線速度は最大約2Mbps(メガバイトパーセコンド)となっています。この速度だと、高速の回線速度を必要とする動画の閲覧はできませんが、メールやインターネット等のビジネスユースには十分対応できる速度となっています。

 サービス開始時期は来年3月のダイヤ改正時とします。ダイヤ改正の具体的な日程については、明日お知らせすることになります。

 ご利用いただける公衆無線LANサービスについては、
・NTTコミュニケーションズ株式会社の「ホットスポット」、
・株式会社NTTドコモの「moperaU(モペラ ユー)」および「Mzone(エムゾーン)」、
・ソフトバンクテレコム株式会社の「BBモバイルポイント」、
・UQコミュニケーションズ株式会社の「UQ Wi−Fi(ユーキュー ワイファイ)」
です。新幹線内で無線LANをご利用いただくためには、これらのサービスへの契約が必要となります。

 今後も新幹線車内における公衆無線LAN会社を拡大していきたいと考えています。

 また、N700系の車内からアクセスいただくお客様向けに、入口となるサイト、すなわちポータルサイトを設置します。

 乗換のご案内や列車内のご案内、観光や宿泊の情報など、ご乗車のお客様に便利な内容を盛り込んでいます。

 さらに、新幹線グリーン車にも搭載されている月刊誌「WEDGE」や「ひととき」の最新情報を盛り込んだウェブマガジン「WEDGE infinity(インフィニティ)」もお楽しみいただけます。

 また、現在、のぞみ停車駅6駅に整備してご好評をいただいております、駅の無線LAN設備についても、東海道新幹線の全駅に拡大し、平成21年3月中に17駅すべてのコンコース待合室で公衆無線LANサービスをご利用いただける予定です。

 今後とも一層便利になる東海道新幹線とN700系に是非ご期待いただきたいと思います。



■今年の振り返りと来年の展望について

【今年の振り返り】

 今年も、安全・安定輸送の確保を最優先に、グループ全体の総合力を結集して質の高いサービスの提供に取り組んだ結果、業務全般にわたり所期の成果をあげることができました。

 まず、安全・安定輸送面での取り組みとしては、東海道新幹線全線の地震対策を引き続き行ったほか、在来線ではATS−PTの導入工事を着実に進めています。あわせて、引き続き社員の技能向上や育成に努めました。本年も半月ほど残っており、気は抜けませんが、おかげさまで大きな事故もなく終わろうとしています。また新幹線は列車遅延時分0.7分と引き続き正確性を維持できました。今後とも緊張感を持って対応します。

 また輸送施策としては、東海道新幹線では、N700系の投入をすすめ、結果3月のダイヤ改正においてN700系「のぞみ」を毎時1本運転としたうえ、品川駅・新横浜駅へ全列車を停車させるなど大幅に利便性を高めました。

 在来線では、同じく3月のダイヤ改正に名古屋地区で快速・普通列車の増発等を行うとともに、夏の木曽路キャンペーンや冬の飛騨路キャンペーンなどを実施しました。

 こうした取り組みにより、年度初から11月末の時点の累計で対前年101%と、厳しい状況の中で何とか前年並みの実績となっています。

 営業面では、3月にICを活用した新しいサービスである「EX−IC(エクスプレスIC)サービス」を開始しました。さらに、「TOICA」の利用エリアを静岡地区へ拡大するとともに、「Suica」「ICOCA」との相互利用を開始しました。

 将来をにらんだ技術開発については、乗り心地改善などの研究を深度化するための車両走行試験装置の設置などを行いました。

 鉄道以外の関連事業では、平成14年7月に横浜市と共同で新横浜駅周辺地区を総合的に再開発する計画をまとめて以来、約5年8ヶ月を要し、商業施設、ホテル、オフィスからなる複合施設「新横浜中央ビル」を3月に開業し、いずれの施設も、順調に推移しています。また、名古屋駅のタワーズでは、11月に、かねてより取り組んでいた12・13階にあるタワーズプラザレストラン街の全面リニューアルを完了し、競争力の維持、強化を図りました。

 また、8月には日本車輌製造株式会社と資本業務提携契約を締結するとともに、10月には同社の株式を50.1%取得し、車両の開発、設計、製造から保守に至るまで、一体として技術力を充実させていく体制を構築しました。

 さらに、東海道新幹線バイパスの実現に向けた取り組みについては、10月に地形地質調査報告書を国土交通大臣に提出し、法律上の手続きをひとつ進めることができました。また、5月には山梨リニア実験線の42.8kmへの延伸等の工事を本格的に着手しました。


【来年の展望】

 新しい年も当然のことながら、安全・安定輸送の確保を第一に、東海道新幹線の盛土・橋脚の耐震補強や在来線ATS−PTの導入工事等の安全対策を引き続き進めます。

 その上で、東海道新幹線では、N700系車両の投入を着実に進めます。3月のダイヤ改正には電源設備の増強工事完了を機に「のぞみ」9本ダイヤを導入するとともにN700系の車内インターネット接続サービスを開始します。また、新大阪駅におけるホームの増設などの工事を進めます。

 在来線については、車両の追加投入を本格的に進めます。

 営業面では、「EX−IC(エクスプレスIC)サービス」について、夏に山陽新幹線へ利用区間を拡大するとともに法人会員向けのサービス提供を開始します。さらに、新たな需要創出に向けて引き続き京都や奈良、伊勢、山陽、東京各方面への観光キャンペーンを行います。

 技術開発では、引き続き新幹線鉄道分野を中心とした競争力強化と地震対策をはじめ自然防災対策等の取り組みを行うとともに、機能材料の開発など新たな分野にも取り組んでいきます。

 関連事業では、より一層グループ会社間の連携を強化し、企業グループとしての発展を目指します。「新横浜中央ビル」における各事業の円滑な運営に努めるほか、静岡市駿河区での社宅跡地の開発などを推進するとともに、農業を具体的に計画するなど新たな挑戦も引き続き行います。

 また、名古屋市に建設予定の博物館について、平成23年開業に向けた準備を進めていきます。

 東海道新幹線バイパスでは、全国新幹線鉄道整備法第5条に基づく残り4項目の調査をはじめ、実現に向けた取り組みを着実に進めます。また山梨リニア実験線では引き続き延伸工事等を進めます。

 以上、来年については景気が非常に不透明と見られる中にありますが、引き続き安全・安定輸送を第一として、輸送や営業の充実などを図り、何とか厳しい状況を乗り切っていけるよう努力していきます。引き続き変わらぬご支援とご愛顧を賜るようお願い申し上げます。