NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.951 【JR東海】定例社長会見(平成20年4月・東京)
ほりうち(ccbu8181) 2008-04-24 22:53:24
JR東海 ニュースリリース

08.04.17
定例社長会見(平成20年4月・東京)


■「車両走行試験装置」の設置について



 愛知県小牧市にある当社の研究施設では「鉄道技術のブラッシュアップ」として、常に鉄道における最先端の技術開発に取り組んでいます。

 具体的な技術開発の例では、「車両運動総合シミュレータ」で乗り心地等の快適性を向上し、「低騒音風洞」により、騒音など環境適合性の向上に向けた研究開発を行い、東海道新幹線N700系で実を結んでいます。

 この度、当研究施設に「車両走行試験装置」を設置し、初期調整などを終え、本年4月より本格的な試験にとりかかることとしました。「この装置の概要」と、「この装置を使ってこれからどんな技術開発を行うか」についてお話しします。

 実験棟内で、実物大の試験車両の車輪を、レールに相当する部分を輪にした「軌条輪(きじょうりん)」上で実際に回転させます。そのうえで、

1) 軌条輪(きじょうりん)を揺らして、走行時の、軌道の直線に対する狂いの再現

2) 台車を揺らして、レールの表面の小さな凸凹(おうとつ)を再現

3) 車体を揺らして、トンネル内の空気力による揺れを再現

4) 隣の車両からの力を再現する

など、軌条輪(きじょうりん)や台車、車体を揺らすなどして定置(ていち)で本線での車両の走行状態を再現します。

 ちなみに、これまでも軌条輪(きじょうりん)の加振(かしん)ができる車両試験装置はありましたが、台車や車体への加振装置付きの車両走行試験装置は世界で初めてのものです。

 この試験装置は、本線上では実施が困難な試験を行なうこともできます。車両に取り付けられているさまざまな部品の耐久性の研究を限界まで行ったり、あるいは、耐久試験の中で、不具合や故障にいたる前兆、きざしをとらえる研究なども行うことができます。

 新幹線車両は1両約40tですが、この車両を走行させ、振動を与えるため、本試験装置の総重量は約1300tと重厚で、また、きわめて堅牢な構造としています。

 このように、この装置は車両の高速走行状況を忠実に再現できる、世界でも類のない試験装置です。

 この装置で、次に述べるような、東海道新幹線をさらにブラッシュアップする技術開発を行います。

 「最良の乗り心地の追求」では、軌道と車両の関係を研究することで車体の揺れを抑える新しい制振装置を開発し、更に乗り心地を良くします。

 「車両軽量化」や「徹底した省エネルギー化」では、例えば、現在「鉄」でできている部品を「アルミ」に置き換えたり、部品の構造を見直すことで車両の軽量化とともに省エネルギー化を図ります。

 「更なる安全・安定性の追求」では、常に車両の状態を監視し、早期に前兆を把握することにより未然に不具合を防ぐシステムを構築します。