ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2014-07-19 16:19:28 |
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書 に対する国土交通大臣意見の送付について 平成26年7月18日 国土交通省は、本日、中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書について、環境影響評価法第24条の規定に基づき、事業者である東海旅客鉄道株式会社に対して別添の国土交通大臣意見を送付しました。 添付資料 別添 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する国土交通大臣意見 中央新幹線(東京都・名古屋市間)(以下「本事業」という。)は、東海旅客鉄道株式会社(以下「本事業者」という。)が、東京都港区と愛知県名古屋市の間(約286km(地上部:40km、トンネル部:246km))を甲府市附近及び赤石山脈(南アルプス)中南部を経由して、超電導磁気浮上方式(以下「超電導リニア方式」という。)により、最高設計速度505km/h で結ぶものである。 本事業では、更なる高速での大量輸送を可能とすることにより、三大都市圏を一体化するとともに、中間駅の設置とその背後圏の開発により、地域の活性化が図られることが期待されている。また、これにより、いわゆる世界最大のスーパー・メガリージョンが形成され、我が国の国際競争力の強化に資するものである。さらに、超電導リニア方式は、我が国が独自に開発してきた高速鉄道技術であり、これまで人類が体験したことのない新たな輸送サービスを提供することになる。この技術は、世界をリードする技術であるとともに、我が国の技術立国としての自信・自負と将来社会への大きな希望を与えることになる。 一方で、本事業は首都圏及び中部圏の大都市圏を大深度地下で、南アルプス等を長大山岳トンネルで通過する計画となっており、これらトンネルの掘削に伴う建設発生土量が多いことやその運搬に伴う地域住民の生活環境や自然環境への影響、事業に伴う水資源への影響等、多岐にわたる分野での影響が懸念されており、本事業の実施に当たっては、環境保全に十分な配慮が必要である。 平成26年6月5日、評価書に対する多岐にわたった詳細な環境大臣意見が国土交通大臣に送付された。示された意見は、「大気環境」、「水環境(水質、地下水、水資源)」、「土壌環境」、「動物・植物・生態系」、「人と自然との触れ合い」、「廃棄物等」(建設発生土)、「温室効果ガス」から成る、いずれも環境の保全に関する環境行政を総合的に推進する観点からのものであった。 この環境大臣意見においては、本事業の前提として、事業実施に当たり、別紙の措置を講じることにより、環境保全について十全の取組を求めている。国土交通省としては、この環境大臣意見を勘案し、事業者が別紙の措置を講じることにより、本事業に係る環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう求める。 また、国土交通省は、これらの措置に加え、今後の工事実施計画に関する手続き等事業実施に関する審査を行う観点、河川や道路などの社会資本の管理者としての観点などから、以下の措置を講じるよう求める。 1.総論 (1)地域住民等への丁寧な説明 本事業を円滑に実施するためには、地元の理解と協力を得ることが不可欠である。評価書では、既に追加のデータや情報が示されている事項もあるが、評価書の補正の際には、その後の知見や検討結果等を踏まえ、可能な限り具体的に記載すること。また、引き続き、事業説明会や工事説明会等の場を活用し、地域住民等に対し丁寧に説明すること。その際には、環境保全に関するデータや情報を最大限公開し、透明性の確保に努めること。 (2)関係地方公共団体や地方整備局・地方運輸局との連携による事業の円滑な実施本事業の実施に伴って生じる多量の建設発生土の有効利用に関する調整、発生土の搬出の際の工事用車両の通行に関する調整、河川水等への影響に対する調整など、本事業を実施する上では、公物管理者等との調整も不可欠となる。このため、沿線地方公共団体のみならず、本事業に関係する地方公共団体とは密接に連絡を取り合うとともに、これらの地方公共団体を含む、より広域的な地域での関連事業を所管している地方整備局や地方運輸局と連携しながら、事業の円滑な実施に努めること。 (3)最新技術の導入による環境影響の低減 本事業では、大深度地下や南アルプス等の山岳部の掘削など技術的に難易度の高い工事において、その時点での最新の技術を積極的に導入し、より一層の環境影響の低減に努めること。 2.各論 (1)河川水の利用への影響の回避 水資源に影響を及ぼす可能性のある大井川を始めとする沿線の各河川は、水道用水、農業用水、工業用水及び発電用水等に利用されていることから、河川流量の減少は河川水の利用に重大な影響を及ぼすおそれがある。 このことを踏まえ、必要に応じて精度の高い予測を行い、その結果に基づき水系への影響の回避を図ること。 また、工事実施前から、河川流量の把握を継続的に行うとともに、専門家等の助言を踏まえた計画を策定した上で、工事実施中から工事実施後の適切な時期までモニタリングを実施すること。 水利用に影響が生じた場合は、専門家等の助言を踏まえ、適切な環境保全措置を講じること。 (2)災害の発生防止及び河川環境への影響の回避 発生土置場からの流出土砂による河床上昇や渓床への堆積に伴う災害危険度の増大、崩壊等に伴う土砂災害、濁水の発生に伴う河川環境への影響を最大限回避するよう、発生土置場での発生土を適切に管理すること。 (3)建設発生土の有効利用 建設発生土については、発生抑制や現場利用を徹底した上で、できる限り他の事業での有効利用を図ることが重要である。 このため、工事実施前から広域的に公共事業や民間事業等と調整し、有効利用先に関する情報を継続的に収集し、最適な利用先を選定できるよう十分検討すること。その上で、可能な限り早期に多量の建設発生土の利用先を確保すること。 (4)建設発生土の運搬時の環境負荷低減 多量に生じる建設発生土の運搬に当たっては、地域住民の生活環境への影響を最大限低減するため、適宜発生土の仮置き場を活用しながら搬出量や時間帯を調整し、工事用車両による円滑な搬出に資する措置を講じること。また、貨物鉄道の利用など発生土の工事用車両以外での搬出方法についても検討し、環境負荷の低減に努めること。 (5)磁界に関する丁寧な説明 磁界の影響については、車内及び車外での磁界の強さが、世界保健機関(WHO)が採用すべきとした国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインを下回っていることが確認されているが、地域住民や利用者の不安感を払拭するため、引き続き事業説明会や工事説明会などにおいて、計測データ等を用いて丁寧に説明すること。 |
|
|
|
|
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2014-07-19 16:22:22 |
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見 (本文) 1.総論 (1)必要最小限の改変 本事業は自然環境豊かな場所を含め規模の大きな土地の改変を伴うものであることから、発生土の抑制、湧水による影響の低減の観点から、できる限り、土地の改変量を減少させるべきである。このため、本事業に伴い土地の改変を行う部分(トンネル部、非常口、変電施設、車両基地等)については、必要最小限のものとすること。また、本事業の工事のみのために設置する必要な施設等については、工事終了後、速やかに、原状に復旧させること。 (2)追加的な調査、予測及び評価の実施 本事業は工事期間が長期にわたるものであることから、事業実施区域の社会環境、生活環境又は自然環境の変化があり、予測し得なかった変化が見込まれる場合は、その変化の状況を踏まえ、工事中及び供用後における評価項目を再検討した上で、改めて環境影響について、調査、予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。 また、新たに自然環境の改変を行う場合、工事実施中に新たに環境影響に係る知見が判明した場合等、本評価書における予測の前提条件が変化した場合についても、同様の取扱いをすること。 (3)環境保全措置の検討 環境保全措置の具体化に当たっては、これまでの調査結果、専門家等の助言等を踏まえ、措置の内容が十全なものとなるよう客観的かつ科学的に検討すること。その際には、環境影響の回避、低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。 また、環境保全措置の具体化について、方法、専門家等の助言、対応方針等の結果を公表し、透明性及び客観性を確保すること。 (4)環境保全措置の実施 本事業に起因する環境影響を最大限、回避及び低減するため、本評価書において講じることとしている環境保全措置及び追加的に講じることとした環境保全措置は適切に実施すること。 (5)事後調査等の実施 事後調査又はモニタリングを適切に実施し、本事業による環境影響を分析した上で、必要に応じて、追加的な環境保全措置を講じること。また、事後調査又はモニタリングの結果については、追加的な環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度とあわせて、その内容を公表すること。 |
|
|
|
|
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2014-07-19 16:22:23 |
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見 (本文) 2.各論 2.1 大気環境 (1)大気質 @ 環境保全措置の実施 本事業は、山間部等の比較的清浄な地域で多くが行われることから、工事用車両の運行に伴い排出される大気汚染物質による大気質への影響について、地域特性に応じた適切な環境保全措置を講じること。 A モニタリングの実施 工事用車両の運行に伴い排出される大気汚染物質による大気質への影響について、モニタリングを実施するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全措置を講じること。 (2)騒音 @ 音源対策を基本とした環境保全措置の検討 列車走行に伴う騒音について、環境基準の類型指定後の環境保全措置の検討に際しては、より一層の影響の低減を検討するよう、沿線の状況を踏まえた予測及び評価を行い、音源対策を基本として、適切な環境保全措置を講じることにより、環境基準の達成を図ること。 なお、土地利用対策を含む総合的な対策の検討及び実施に当たっては、関係機関との十分な連携を図ること。 A モニタリングの実施 工事用車両の運行及び建設機械の稼働、供用後における列車の走行に係る騒音等についてモニタリングを実施するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全措置を講じること。 B 走行条件の変更時等における追加的な調査、予測及び評価の実施 本評価書における予測の前提条件として山梨リニア実験線の結果を利用しているが、供用時における高速化等の走行条件等の変更がある場合は、騒音に係る影響について調査、予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。 (3)振動 @ モニタリングの実施 工事用車両の運行及び建設機械の稼働、供用後における列車の走行に伴う振動についてモニタリングを実施するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全措置を講じること。 A 走行条件の変更時等における追加的な調査、予測及び評価の実施 本評価書における予測の前提条件として山梨リニア実験線の結果を利用しているが、供用時における高速化等の走行条件等の変更がある場合は、振動に係る影響について調査、予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。 2.2 水環境(水質、地下水、水資源) トンネル部の地下水位データは少なく、山梨リニア実験線区間での河川流量観測結果のみでは、地下水位や水環境に関する予測の不確実性は高い。また、特に山岳トンネル区間には、多数の断層が確認されており、断層や破砕帯等の透水性が高い部分から大量の湧水が生ずる可能性がある。地下水位の低下並びに河川流量の減少及びこれに伴い生ずる河川の生態系や水生生物への影響は、重大なものとなるおそれがあり、また、事後的な対応措置は困難である。 このことを踏まえ、以下の対策を講じること。 (1)精度の高い予測の実施及び水系への影響の回避 山岳トンネル部の湧水対策は、事前に精度の高い予測を行った上で対策を検討しておく必要があることから、特に巨摩山地から伊那山地までの区間においては、本線及び非常口のトンネル工事実施前に、三次元水収支解析を用いてより精度の高い予測を行い、その結果に基づき、地下水位及び河川流量への影響を最小化できるよう水系を回避又は適切な工法及び環境保全措置を講じること。 また、愛知県及び岐阜県については、予測検討範囲内の湿地について、それぞれその水理的な成立要因を明らかにした上で、工事着手までに、トンネル工事が湿地に与える環境影響について予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。 (2)湧水の最小限化等工法の検討 本線、先進坑及び非常口(山岳部)のトンネルにおいては、防水シートや覆工コンクリートの早期かつ適切な施工、必要に応じて防水型トンネルの施工等を行うこと。 特に、非常口(山岳部)から本線トンネルに至るトンネルは、地上部から地下の深層まで到達し、その過程で浅層地下水の帯水層や浅層地下水と深層地下水を隔てる不透水層を貫通し、浅層地下水位の低下や河川流量に影響を及ぼす可能性があることから、各非常口(山岳部)のトンネル掘削に際しては、あらかじめ、地下水位の調査を行い、その結果を踏まえ非常口トンネルの防水工の必要性を検討すること。 また、トンネル掘削時に行う地質調査により得られる実際の断層や破砕帯の状況等の地質情報を環境保全措置の検討に反映させること。 (3)湧水の適正処理 トンネル掘削により生じた湧水の排水については、工事計画の策定段階で、具体的に排出場所、排出方法並びに水質、水量及び水温の管理方法等を明らかにした上で、適正に処理すること。また、湧水及び処理後の湧水について沢や河川等の表流水に放流することを検討する際には、水質や水量を検討した上で、専門家等及び関係地方公共団体と協議し、できる限り表流水への影響を回避、低減すべく多地点で放流する計画とすること。 (4)事業前後におけるモニタリングの実施 地下水位の低下及び河川流量の減少が生ずる可能性のある地域として、予測及び評価において設定した予測検討範囲に、断層や破砕帯の性状や連続性を加味した地域において、工事実施前から、地下水位及び河川流量の把握を継続的に行うとともに、工事実施中から工事実施後の適切な時期までモニタリングを実施すること。特に、河川流量の把握については、水系ごとに、流量の少ない源流部や支流部を含む複数の調査地点を設定すること。 また、地下水位や河川流量に影響が生じている可能性が確認された場合は、まず応急対策を講じた上で、恒久対策としての環境保全措置を講じること。 (5)工事用水の取水の最小化 工事に伴う沢及び河川等の表流水からの取水は、生態系への影響が懸念されることから、河川流量や生態系に影響が生じない場合のみ行うこととし、みだりに取水することは厳に戒めること。また、取水量が集中しないようにすること。 2.3 土壌環境 (1)地盤沈下 工事中及び工事完了後において、土被りの小さい山岳トンネル区間で地上に住居等が存在する区間のうち適切な箇所を選定し、一定の期間、地盤沈下に関する事後調査を実施し、地盤変形の程度を把握するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全措置を講じること。 (2)土壌汚染 @ 土壌汚染の可能性がある地域における発生土の汚染状況調査 本事業に起因する汚染土壌の拡散を未然に防止するため、トンネル工事等に伴う発生土については、自然由来の重金属等による汚染の状況を定期的に調査すること。 なお、調査頻度については、専門家等の助言を踏まえ決定するとともに、工事着手前までに具体的な計画を策定すること。 A 汚染土壌の適正な管理及び処理 自然由来の重金属等による汚染のおそれのある土壌については、拡散を防止するため、適切な管理及び処理を行うこと。 B 要措置区域等外の土地の基準不適合土壌の取扱い 要措置区域等外の土地の土壌であっても、その汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないおそれがある土壌については、運搬及び処理に当たり、土壌汚染対策法の規定に準じて適切に取り扱うこと。 |
|
|
|
|
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2014-07-19 16:22:25 |
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見 (本文) 2.4 動物・植物・生態系 (1)総論 @ 南アルプス国立公園 事業実施区域には、南アルプス国立公園及び環境省が平成19 年度から開始した「国立・国定公園総点検事業」において、今後10 年間を目処に国立・国定公園の新規の指定や大幅な拡張の対象となり得るとして選定した候補地を含むことから、本事業の実施が当該地で評価されている自然環境及び生態系にできる限り影響を及ぼすことがないようにすること。 また、事後調査の結果及び専門家等の助言を踏まえ、適切な環境保全措置を講じること。 A 生物圏保存地域(ユネスコエコパーク) 生物圏保存地域(国内呼称:ユネスコエコパーク)は、生態系の保全と持続可能な利活用との調和に取り組む地域を登録するユネスコの事業であるが、当該路線が通過する南アルプス周辺地域は、生物圏保存地域の登録申請地である。本事業計画では、生物圏保存地域の「移行地域」において、非常口や工事プラント、発生土置場等の設置のほか、発生土や工事資材運搬のための車両の通行等も計画されている。「移行地域」は、自然と調和した持続可能な資源管理が展開される地域であり、関係市町村は、自然体験フィールドの提供や農林水産物のブランド化等の自然環境や地域資源を活かした取組を計画していることから、本事業の実施が生物圏保存地域登録申請地としての資質を損なうことが無いよう、事業実施に際しては関係地方公共団体と十分に調整し、その意向を尊重すること。 (2)動物 @ 希少猛禽類の繁殖活動への影響の回避・低減 本事業の計画路線の周辺には、クマタカやオオタカ等の希少な猛禽類が生息し、計画路線付近で営巣する個体も確認されている。工事の実施に際しては、これらの種の生息や繁殖活動に支障を及ぼさないよう細心の注意が求められるが、環境保全措置として位置づけられているコンディショニングは、一部の種で成功事例があるものの、手法として確立されているとは言い難く、営巣中心域や高利用域といった繁殖に重要な地域の回避や営巣期の工事の回避等のより確実性の高い手法によりこれらへの影響を回避、低減することを優先的に検討することが必要である。 このため、希少猛禽類(クマタカ、オオタカ、サシバ)のうち、営巣中心域等と工事区域が重複するものについては、専門家等の助言を踏まえ、以下の環境保全措置を講じること。 (a) 神奈川県 ・オオタカ(長竹ペア)については、営巣中心域に改変の可能性がある範囲の一部が含まれる計画となっているが、営巣期(2〜7月)における営巣中心域の人の立ち入りについてはオオタカの生息に支障を来すおそれがあることから、営巣中心域や高利用域といった繁殖に重要な地域のできる限りの回避や営巣期の工事の回避等を行うこと。 (b)山梨県 ・オオタカ(坊ヶ峯ペア)については、営巣中心域を計画路線が通過する計画となっているが、営巣期(2〜7月)における営巣中心域の人の立ち入りについてはオオタカの生息に支障を来すおそれがあることから、営巣中心域や高利用域といった繁殖に重要な地域のできる限りの回避や営巣期の工事の回避等を行うこと。 ・クマタカ(青崖ペア)については、営巣中心域端部を計画路線が通過する計画となっているが、基本的にこの区域の環境の改変は避ける必要があり、人の出入りも極力少なくすべきであることから、複数の専門家等の助言を踏まえ、営巣中心域を回避及び高利用域での営巣期における影響を回避するよう工事計画及び工事方法の検討を行い、当該ペアの保全に十全を期した工事を実施すること。 ・クマタカ(新倉ペア、高下ペア)については、高利用域に改変の可能性がある範囲の一部が含まれる計画となっているが、本事業による生息環境の改変により繁殖活動に悪影響が及ぶおそれのある区域であることから、高利用域を回避する又は営巣期における工事を避けることも含め、専門家等の助言を踏まえ、回避、低減、代償の順で環境保全措置を検討し、講じること。 (c)長野県 ・オオタカ(喬木村ペア)については、営巣中心域を計画路線が通過する計画となっているが、営巣期(2〜7月)における営巣中心域の人の立ち入りについてはオオタカの生息に支障を来すおそれがあることから、営巣中心域や高利用域といった繁殖に重要な地域のできる限りの回避や営巣期の工事の回避等を行うこと。 ・クマタカ(大鹿村Aペア)については、営巣中心域近傍を計画路線が通過する計画となっているが、基本的にこの区域の環境の改変は避ける必要があり、人の出入りも極力少なくすべきであることから、営巣中心域及びその近傍を回避する又は営巣期における工事を避けることも含め、専門家等の助言を踏まえ、回避、低減、代償の順で環境保全措置を検討し、講じること。 ・クマタカ(大鹿村Bペア、Cペア)については、高利用域に改変の可能性がある範囲の一部が含まれる計画となっているが、本事業による生息環境の改変により繁殖活動に悪影響が及ぶおそれのある区域であることから、高利用域を回避する又は営巣期における工事を避けることも含め、専門家等の助言を踏まえ、回避、低減、代償の順で環境保全措置を検討し、講じること。 (d)岐阜県 ・オオタカ(千旦林南ペア)については、営巣中心域に改変の可能性がある範囲の一部が含まれる計画となっているが、営巣期(2〜7月)における営巣中心域の人の立ち入りについてはオオタカの生息に支障を来すおそれがあることから、営巣中心域や高利用域といった繁殖に重要な地域のできる限りの回避や営巣期の工事の回避等を行うこと。 ・サシバ(久々利東ペア)については、営巣中心域に改変の可能性がある範囲の一部が含まれる計画となっているが、人の立ち入りや工事の実施により繁殖に及ぼす影響が大きい区域であることから、できる限り営巣中心域及び高利用域の減少や分断を最小限にするとともに、工事等による繁殖への影響を低減する等、専門家等の助言を踏まえ、環境保全措置を検討し、生息上支障を及ぼすおそれのある行為を避けること。 (e)愛知県 ・オオタカ(西尾ペア)については、営巣中心域に改変の可能性がある範囲の一部が含まれる計画となっているが、営巣期(2〜7月)における営巣中心域の人の立ち入りについてはオオタカの生息に支障を来すおそれがあることから、営巣中心域や高利用域といった繁殖に重要な地域のできる限りの回避や営巣期の工事の回避等を行うこと。 A 河川流量の減少に伴う水生生物への対応 工事の実施及びトンネルの存在に伴う地下水位の変動や河川流量の減少に伴う野生生物への影響予測については不確実性が高く、その影響は、重大なものとなるおそれがあり、かつ、事後的な対応措置による影響の低減や修復を行うことが難しいため、あらかじめ十分な情報を把握した上、予測、評価を行い、適切な環境保全措置を講じる必要がある。このため、河川流量の減少等により影響を受ける可能性がある地域に生息・生育するヤマトイワナ、希少なサンショウウオ類、水生昆虫等の水生生物について、水系ごとに、流量の少ない源流部や支流部も含めて複数の調査地点を設定し、工事の実施前から水生生物の生息状況、河川の流量及び水質について調査を行い、その結果に基づき予測、評価を実施し、適切な環境保全措置を講じること。 また、工事実施中及び供用中においても、モニタリングを継続的に実施し、影響が生じる可能性がみられた場合には、専門家等の助言を踏まえ、適切な保全措置を講じること。 B 移動力の小さい動物種への対応 希少なサンショウウオ類やイモリ類をはじめ両生類、爬虫類、魚類、昆虫類、底生生物等のうち移動力が小さい又は環境に制約される種については、事業の実施に伴う生息環境の消失、減少又は分断による影響を受けやすい。しかしながら、一部の種を除き、移動力を踏まえたその生息環境の改変に対する影響が予測、評価されていない。このため、これらの種の生息環境の改変に際しては、改変範囲を極力小さくするとともに、改変箇所に生息する重要な種については、できる限り、周辺に存在する同様の環境への移動経路を確保するとともに、個体の移植等を実施すること。 C 夜間照明等による野生動物への影響把握 夜間照明等による野生動物に及ぼす影響については、十分な知見が蓄積されていないことから、山岳部において、専門家等の助言を踏まえ環境保全措置を講じるとともに、事後調査を実施し、その影響を把握するとともに、影響を及ぼす可能性がある場合には、専門家等の助言を踏まえ、適切な環境保全措置を講じること。 (3)植物 @ 環境保全措置の検討 植物は、移動能力を持たないため、工事の実施及び施設等の設置により生育地が消失又は減少することの影響を自ら回避することができない。また、種によっては相観で同質の生育環境が広がっているように見えても、土壌水分や空中湿度等の細かな環境条件により生育地が限定されることもある。このため、環境保全措置の検討に際しては、影響の回避を原則とすること。 A 移植・播種に関する実施計画の作成 生育地への影響を回避又は低減することが難しいため、やむを得ず重要な植物種の移植・播種を実施する際には、専門家等の助言を踏まえ、対象種ごとに、移植・播種の場所、時期、方法、監視方法等を含む移植・播種実施計画を作成すること。 (4)生態系 @ 発生土置場及び工事施工ヤード等における自然環境の復元 発生土置場の緑化及び工事終了後の工事施工ヤードの原状復旧を実施する際には、専門家等の助言を踏まえ、緑化に使用する種や緑化方法、管理方法等を定め、速やかに周辺と一体となった自然環境に復元するよう適切な環境保全措置を講じること。 A 生息・生育環境の創出における実施計画の作成 車両基地等の大規模施設によって消失される生息・生育環境の代償措置について、現時点では位置、面積、構造、機能等が示されていない。このため、詳細な設計を行う際には、それぞれの場所ごとに、専門家等の助言を踏まえ、目標、対象種、創出する環境の内容及び創出手法、管理、モニタリング、評価の方法等を含む実施計画を作成すること。 |
|
|
|
|
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2014-07-19 16:22:26 |
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見 (本文) 2.5 人と自然との触れ合い (1)登山者等の利用体験への配慮 南アルプス地域は、登山者等の利用者が当該地の自然を楽しむため訪れる場所となっており、工事関係車両の通行等による騒音や振動等が、キャンプ場等の施設利用者や登山利用者等の利用体験の質の低下を招く懸念がある。このため、工事の実施等に当たっては、これら利用者等の利用実態を把握した上で、工事車両の運行時間、運行ルート等の配車及び運行計画の調整、工事実施の周知等を行い、これら利用者等の利用体験の質への影響を回避、低減すること。 (2)長期間にわたる工事への対応 本事業のうち、南アルプスをはじめ人と自然との触れ合い活動の場であって、工事の期間が十数年にわたる場所については、工事の実施による景観及び人と自然との触れ合い活動の場に対する影響の予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。 2.6 廃棄物等 (1)発生土 @ 発生抑制、現場利用の徹底 トンネル掘削等の工事実施に伴う発生土については、施設の規模等の見直しを含め、発生量を抑制するよう検討するとともに、できる限り場外搬出量を抑制すること。 A 発生土置場の選定要件 今後、新たに仮置場の設置場所を選定する場合については、自然植生、湿地、希少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等、動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い区域、土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁のおそれがある区域等を回避すること。 また、登山道等のレクリエーション利用の場や施設、住民の生活の場から見えない場所を選定するよう配慮するとともに、設置した際には修景等を行い、自然景観を整備すること。 B 発生土の運搬 発生土置場への運搬又は事業場外への運搬について、飛散流出等により周辺環境に影響を及ぼさないよう、必要に応じて流出防止策を実施し、適切に運搬すること。 C 発生土置場の適切な管理 発生土置場での発生土の管理について、濁水の発生防止や土砂の流出防止その他周辺環境に影響を及ぼさないよう、発生土置場ごとに管理計画を作成した上で、適切に管理すること。 また、発生土の管理計画の作成に当たっては、内容について関係地方公共団体と協議し、また、住民への説明や意見の聴取等の関与の機会を確保すること。 D 譲渡先への情報伝達 発生土の譲渡等に伴う二次的な土壌汚染及び自然植生、湿地、希少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等の動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い区域等の改変を防止するため、譲渡先が講じるべき措置を伝達する等の適切な環境保全措置を講じること。 (2)廃棄物 @ 発生抑制の徹底 工事に伴い発生する廃棄物については、できる限りその発生量を抑制するよう、工法等を検討すること。また、供用時に発生する廃棄物についても、その減量に取り組むこと。 A 再生利用の推進 廃棄物については、再生利用の方法や量について明らかにするとともに、それぞれ目標を達成するための方策等を検討し、実施すること。 B 適正処理の推進 工事の開始までに、廃棄物の種類及び発生量に応じた処理方法及び処分先を決定し、廃棄物の適正な処理を行うこと。 2.7 温室効果ガス (1)定量的な目標の設定及び計画的な削減 本事業の実施に当たっては、再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入計画(定量的な削減目標をできる限り設定することを含む。)を策定するとともに、計画的に温室効果ガス排出量を削減すること。 (2)供用時のエネルギーの対策 供用時に調達する電力は、できる限り再生可能エネルギーからの電力とする等の対策を講じるとともに、更なる省エネを徹底しつつ、増加する温室効果ガス排出量を最大限抑制すること。 (3)工事中のエネルギーの対策 工事に伴う温室効果ガス排出量をできる限り削減するよう、工事における省エネや再生可能エネルギーの利用等の環境保全措置を講じること。 (4)本事業者全体の取組の促進 本事業を含め本事業者における温室効果ガス排出削減措置について、再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入計画(定量的な削減目標をできる限り設定することを含む。)を策定するとともに、計画的に温室効果ガス排出量を削減すること。 また、再生可能エネルギーの最大限の導入に主体的に取り組むとともに、省エネルギー化や技術開発等を進めることで、長期的な温室効果ガス排出削減対策に取り組むことにより、温室効果ガス排出量を最大限抑制すること。 (5)他の事業者との連携による取組の促進 本事業者においては、更なる温室効果ガス排出削減を図るため、他の事業者と連携する等、効果的な方策に最大限取り組むこと。 3.その他 ・地元自治体等との連携 事業実施に当たっては、地元自治体の意見を十分勘案し、環境影響評価において重要である住民への説明や意見の聴取等の関与の機会の確保についても十全を期すこと。 (以上) (参考) 中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見 (前文) 中央新幹線(東京都・名古屋市間)(以下「本事業」という。)は、東海旅客鉄道株式会社(以下「本事業者」という。)が、東京都港区と愛知県名古屋市の間(約286km(地上部:40km、トンネル部:246km))を超電導リニアにより結ぶものである。本事業は、その事業規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じる環境影響を、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めない。 例えば、本事業のほとんどの区間はトンネルで通過することとなっているが、多くの水系を横切ることとなることから、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い。特に、山梨県から長野県にまたがる地域の一部は、我が国を代表する優れた自然の風景地として南アルプス国立公園に指定されており、また、ユネスコエコパークとしての利用も見込まれることから、当該地域の自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命でもある。 また、本事業の供用時には現時点で約27 万kW と試算される大量のエネルギーを必要としているが、現在我が国が、あらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。供用時におけるエネルギー消費量の低減と調達するエネルギーのグリーン化等を行い、大規模事業者として、温室効果ガスの排出低減に向けて主体的な役割を果たすことが不可欠である。 この他にも、トンネルの掘削に伴い多量に発生する発生土の適正な処理、希少動植物の生息地・生育地の保護、工事の実施に伴う大気汚染、騒音・振動対策等、本事業の実施に伴う環境影響は枚挙に遑がない。 技術の発展の歴史を俯瞰すれば、環境の保全を内部化しない技術に未来はない。このため、低炭素・循環・自然共生が統合的に達成される社会の具現化に向け、本事業の実施に当たっては、次の措置を講じることにより、環境保全について十全の取組を行うことが、本事業の前提である。 なお、言うまでも無く、本事業は関係する地方公共団体及び住民の理解なしに実施することは不可能である。このため、事業の円滑な実施及び供用に向け、本事業の今後の検討及び実施に当たっては、関係する地方公共団体の意見を十分に勘案し、環境影響評価において重要な住民関与についても十全を期すことが必要である。 さらに、国土交通大臣におかれては、本事業者が十全な環境対策を講じることにより、本事業に係る環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう、本事業者に対して適切な指導を行うことを求める。 |
|
|
|
|