NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.39 【小田急】2007年度の鉄道事業設備投資計画 輸送サービスの向上に512億円
ほりうち(ccbu8181) 2007-05-09 20:48:25

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|           2007年度の鉄道事業設備投資計画           |
|            輸送サービスの向上に512億円            |
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 小田急電鉄株式会社(本社:東京都新宿区 社長:大須賀 頼彦※)では、お客さまに安心、便利、快適にご利用いただくため、鉄道事業の設備増強を積極的に進めています。2007年度も「輸送力の増強」「安全対策の強化」「サービスの向上」「環境対策の推進」を4本の柱に、総額512億円(自社工事455億円、鉄道建設・運輸施設整備支援機構工事57億円)にのぼる設備投資を実施します。

 2007年度の鉄道事業設備投資計画の概要は、次のとおりです。


                   記


1.輸送力の増強
 ラッシュ時の混雑の緩和や所要時間の短縮など、快適な輸送サービスを実現するため、今年度も総額114億円を投資し「輸送力の増強」に向けた取り組みを実施します。

(1) 複々線化事業の推進(東北沢〜和泉多摩川間10.4q)
 現在工事中の東北沢〜世田谷代田間(1.6q)では、今年度も引き続き、1日も早い完成を目指し工事を進めます。この区間は2013年度の完成を予定しており、完成後は、朝のラッシュピーク時間帯に列車の増発による混雑の緩和や、さらなる所要時間の短縮が可能となります。
(複々線化事業の進捗状況は別紙をご参照ください。)

(2) 和泉多摩川〜向ヶ丘遊園間(1.4q)改良工事
 複々線化事業の効果をより一層発揮させるため、多摩川橋梁部分を複々線化するとともに、登戸〜向ヶ丘遊園間を上り2線、下り1線の3線化とすることで、上り方面に対して複々線化と同等の輸送効果を発揮させることができます。今年度中に下り線を切り替え、登戸駅の下り専用ホームの使用を開始します。工事の完成は、2008年度を予定しています。


2.安全対策の強化

(1) 踏切の安全性向上
 踏切保安装置の故障による事故などを未然に防止するため、電気司令所などで踏切保安装置の動作状態をリアルタイムに集中監視できるシステムを2008年度末までに導入します。
 また、踏切内で車にエンストなどが起こった場合、踏切に設置された非常ボタンを押すことにより、接近する列車に異常を知らせて緊急停止させる「踏切支障報知装置」を車の通行できるすべての踏切に設置完了していますが、車の通行しない踏切についても今年度中に19カ所設置し、全踏切への設置が完了する予定です。

(3) D−ATS−P※の導入
 列車運行の安全性を一層高めるため、現在使用しているATSに替え、連続的で細かい速度制御により、急曲線、分岐器、下り勾配などの制限速度の設定が可能となるD−ATS−Pの全線設置を目指してシステム構築を進めていきます。
※ D−ATS−P:Digital Automatic Train Stop Pattern の略

(3) 運転状況記録装置の設置
 事故が発生したときなどに情報を活用できるよう、列車の速度やブレーキなどの運転状況を記録する装置を新造車両などに順次設置していきます。

(4) 海老名〜厚木間高架化工事
 今年度中に海老名〜厚木間で道路との立体交差が完了し、2カ所の踏切を廃止します。


3.サービスの向上

(1) 車両の新造とリニューアル
 1)新型ロマンスカー・MSEの製造
  東京メトロ線内の運行に必要な設備を備えた千代田線直通運転用の新型ロマンスカ
 ー・MSE(6両編成×2本、4両編成×1本、合計16両)を製造します。

 2)新型通勤車両4000形の製造
  東日本旅客鉄道株式会社のE233系をベースに、主要な機器・回路の2重系化によ
 る運行障害の低減やさらなるバリアフリー化を推進した、東京メトロ千代田線への直通
 運転用の新型通勤車両4000形(10両編成×7本、合計70両)を製造します。

 3)通勤車両のリニューアル
  8000形通勤車両(6両編成×2本、4両×1本、合計16両)をリニューアルし、
 車いすスペースや車内LED表示器、自動放送装置などを設置します。あわせて、列車
 の走行音を低減するため、車両搭載機器の低騒音化を図ります。


(2)駅の施設・設備の改良およびサービス改善
 1)新百合ヶ丘駅・海老名駅の大規模改良工事
  新百合ヶ丘駅の改良工事では、新宿側に新しい駅舎を増築し、エレベーターの設置に
 よるバリアフリー化や改札口の開設による利便性向上などを図ります。今年度中の完成
 を目指し、引き続き工事を推進します。
  また、海老名駅の改良工事では、今年度中に小田原側にコンコースを増築し、ホーム
 とコンコースを結ぶエレベーターやエスカレーターなどを設置するとともに、東側に改
 札口を開設して乗降時の混雑の緩和を図ります。工事の完成は2010年度を予定して
 います。

 2)駅施設のリニューアル・改良
  新宿駅では改札外に引き続き改札内のリニューアル工事を、柿生駅では駅舎のリニュ
 ーアル工事を、伊勢原駅では自由通路等の整備工事を進めます。

 3) 交通ICカード「PASMO」の利便性の向上
  PASMOの利便性向上を目指して「PASMO電子マネー」サービスの拡充やシス
 テム改良などを実施します。

 4) ホーム待合室の設置
  ホームで列車を待つ間にご利用いただける、冷暖房完備のホーム待合室を3駅6カ所
 に設置します。これにより全70駅のうち44駅75カ所に設置されることになりま
 す。
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|               ホーム待合室設置駅               |
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|登戸(上下ホーム)、新百合ヶ丘(各ホーム1カ所、合計3カ所)、小田急相模原(上り)|
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 5)行先案内表示器の更新
  登戸、新百合ヶ丘、大和、片瀬江ノ島の各駅で、現在使用している行き先や発車時
 刻、乗車ホームをご案内する表示器を、より見やすいものに更新します。

 6)駅構内の案内板の設置
  目の不自由なお客さまにも安心してご利用いただけるよう、駅構内の触知案内板を
 10駅に設置するほか、トイレの触知案内板を11駅に設置します。


(3) 駅施設のバリアフリー化の推進

 1)エレベーターの設置
  移動の障害となる段差を解消するため、エレベーターを4駅に9基設置するほか、エ
 スカレーターを4駅に14基設置します。これにより、小田急線の9割以上の駅(全7
 0駅中65駅)で改札からホームまで段差なく移動することができるようになります。
  なお、2010年までには、すべての駅の段差を解消する予定です。

【エレベーター】
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| 設置駅 |基数| 設置場所 |    備考    |
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|  登戸  | 2|上下ホーム|増設・大型22人乗り|
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|新百合ヶ丘| 3|各ホーム |新設・大型22人乗り|
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| 海老名 | 2|上下ホーム|新設・大型22人乗り|
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|  足柄  | 2|上下ホーム|新設        |
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【エスカレーター】
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|  設置駅  |基数| 設置場所 |    備考    |
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|  登戸  | 3|下りホーム|増設        |
| 新百合ヶ丘 | 6|各ホーム |増設        |
|小田急相模原| 1|改札外  |新設        |
|  海老名  | 4|上下ホーム|新設        |
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 2)多目的トイレの設置
  車いすをご利用のお客さまやオストメイトのお客さま、乳幼児をお連れのお客さまに
 も安心してご利用いただける多目的トイレを3駅に設置します。これにより、小田急線
 の9割以上の駅(全70駅中66駅)のトイレが、オストメイト対応となります。
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 |  多目的トイレ設置駅  |
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 |新百合ヶ丘、海老名、足柄|
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4.環境対策の推進

(1) 全密閉式の主電動機(モーター)の採用
 2007年度以降に新造およびリニューアルする車両に、従来の主電動機よりも走行音が低減される全密閉式の主電動機※を採用します。
※モーター内部の回転音やファンの風切り音が外に漏れにくいよう、外気と完全に遮断した構造になっており、従来のものと比べて3dB程度の騒音低減効果が見込まれます。

(2) 車両搭載機器の低騒音化
 リニューアルを実施する8000形通勤車両3編成で、ブレーキや扉の開閉に必要な圧縮空気を供給するコンプレッサーを低騒音型のものに更新するとともに、滑走防止制御装置※を設置し、列車の走行音の低減を図ります。
※雨天時などレールが滑りやすい状態で急ブレーキをかけると車輪がロックしながらレールの上を滑走し、車輪に騒音の原因となる凹みができることがあります。この滑走を防止するため、一時的にブレーキ力を弱めて、車輪がロックするのを防ぐための装置です。
                                     以 上

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別紙 (複々線化事業の進捗状況について)

 当社では、快適な輸送サービスを提供するための抜本的な輸送改善策として、東北沢〜和泉多摩川間(10.4km)の複々線化工事を進めており、現在までに世田谷代田〜和泉多摩川間(8.8km)が完成しています。これにより、朝のラッシュピーク時間帯における向ヶ丘遊園→新宿の所要時間は事業着手前と比較し、急行で8分程度、各駅停車で4分程度、また、日中時間帯の各駅停車についても7分程度の短縮が図られ、速達性が大幅に向上するなどの効果を発揮しています。

 残る東北沢〜世田谷代田間(1.6km)は、2004年9月に工事着手し、現在、4線地下式による複々線化工事を鋭意推進しています。当区間が完成すると、さらに所要時間が短縮するだけでなく、すでに完成している複々線施設と繋がることにより、列車の増発が可能となり、大幅な混雑の緩和が図られるなど、抜本的な輸送改善が図られます。

 また、この事業は、東京都の都市計画事業である連続立体交差事業と一体的に進められています。これにより踏切での慢性的な交通渋滞が解消、鉄道と道路の安全性向上などが図られるとともに、鉄道によって隔てられていた市街地の一体化や、駅周辺の整備が進むなど、その整備効果は高く、緊急性を要する事業となっています。


(東北沢〜世田谷代田間 2007年度工事予定)

 本事業区間は、世田谷区および渋谷区の密集した市街地に位置しており、作業ヤードや搬入路の確保が難しく、非常に厳しい施工条件の中での在来線直下の地下化工事を行っています。また、1日7万台の交通量がある環状7号線や京王井の頭線との交差および東京地下鉄千代田線との隣接など、多くの関係者を有する難工事となっています。

 着工から3年目を迎え、地下化に向けた工事が本格化しており、現在は、開削工事を行うための地中連続壁、工事桁架設などの工事を中心に行っています。今年度は、シールドトンネルを年度内に掘進させるべく、発進・回転立坑(たてこう)の構築などを鋭意進めるほか、環状7号線交差部道路直下のトンネル推進工事の1期施工分(南側2線分)の完成や、代々木上原駅〜下北沢駅間上り線路切替工事など、地下化に必要な工事を進めていきます。
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