NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.31 【JR東海】平成19年3月期 決算短信(連結)(2/2)
ほりうち(ccbu8181) 2007-04-27 23:30:05

(1)経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況


1.経営成績

 当社グループは、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化等への取組みを続けるとともに、一層の競争力強化及びサービス向上に努めました。

 東海道新幹線については、昨年3月のダイヤ改正において東海道・山陽新幹線直通「のぞみ」の利便性をさらに高めるとともに、ご利用の集中する時期・時間帯を中心に弾力的に列車を運行しました。また、N700 系について、量産先行試作車による長期耐久走行試験を引き続き実施するなど、営業運転開始に向けた準備を進めました。一方、在来線については、313 系車両の新製・投入を着実に進めるとともに、名古屋地区及び静岡地区においてダイヤ改正を実施し、東海道本線について快速列車の増発や運行パターンの見直し等の輸送体系の整備を行いました。さらに、「エクスプレス予約」について、昨年7月に東海道・山陽新幹線全線への利用拡大を実施し、一層の利便性向上によるご利用増に努めるとともに、在来線ICカード乗車券「TOICA(トイカ)」を昨年11月に名古屋地区において導入しました。

 鉄道以外の事業においては、ジェイアール名古屋タカシマヤがJRセントラルタワーズ最上階に「パノラマサロン」をオープンするとともに、専門店ゾーンを含めた大規模な売場改装を実施しました。また、駅構内商業施設のリニューアルや社宅跡地開発を着実に進めるなど、グループ全般にわたり、一層のサービス向上に努めました。

 これらの施策に加え、好調な経済状況もあり、上半期においては平成17年の「愛知万博」の反動があったものの、東海道新幹線の輸送人キロが前年同期をわずかに下回るにとどまり、下半期においても、引き続き東海道新幹線のご利用状況が好調に推移したことから、当期においては、全体の輸送人キロが前期比1.2%増の535 億3千3百万人キロとなりました。これらにより、当期の営業収益は、前期比1.6%増の1兆4,912億円となりました。経常利益は、耐震補強関連等の営業費が増加したものの、支払利息等の営業外費用が減少したことなどから、前期比10.9%増の2,366 億円、当期純利益は前期比12.0%増の1,371億円となりました。

 当期の配当金については、中間配当金として1株当たり3,500円を実施しましたが、
期末配当金は、1株当たり4,000円とさせていただく予定です。

 これを事業の種類別セグメントごとに示すと次のとおりです。


1)運輸業
東海道新幹線については、昨年3月のダイヤ改正において、東京〜広島・博多駅間を運転する「のぞみ」や、早朝・夜間時間帯に新神戸駅に停車する「のぞみ」を増やすなど、東海道・山陽新幹線直通「のぞみ」の利便性をさらに高めるとともに、ご利用の集中する時期・時間帯を中心に弾力的に列車を運行しました。また、N700 系について、量産先行試作車による長期耐久走行試験を引き続き実施するなど、営業運転開始に向けた準備を進めました。

 在来線については、313系車両の新製・投入を着実に進めるとともに、昨年10月に名古東海屋地区においてダイヤ改正を実施し、東海道本線について快速列車の増発を含む輸送体系の整備を行いました。また、静岡地区においても、本年3月にご利用状況にあわせて運行パターンを見直すなどのダイヤ改正を実施しました。

 販売面については、「エクスプレス予約」のサービス区間を昨年7月に東海道・山陽新幹線全線に拡大するとともに、「エクスプレス予約」専用のさらにお得な割引きっぷ「エクスプレス早特」の設定列車・区間を拡大するなど、より一層のご利用増に努めました。また、在来線ICカード乗車券「TOICA(トイカ)」を昨年11月に名古屋地区において導入しました。さらに、京都をはじめ、奈良・伊勢・東京等の各方面へ向けた観光キャンペーンを展開し、様々な旅行商品の設定に努めました。加えて、50歳以上のお客様を対象とした旅クラブJR東海「50+(フィフティ・プラス)」会員に対する魅力ある商品の設定にも積極的に取り組みました。

 このような諸施策を実施したうえで、当期においても東海道新幹線・在来線とも安全・安定輸送を完遂し、東海道新幹線の輸送人キロは前期比1.6%増の444 億8千7百万人キロ、在来線の輸送人キロは前期比0.6%減の90 億4千6百万人キロとなりました。

 バス事業においては、規制緩和による競争激化等、引き続き厳しい経営環境のもと、業務の効率化等を進めました。上記の結果、営業収益は前期比1.0%増の1兆2,120億円、営業利益は耐震補強関連等の営業費が増加したことなどから、前期比0.6%減の3,775億円となりました。


2)流通業
 流通業においては、ジェイアール名古屋タカシマヤが昨年3月にJRセントラルタワーズ最上階に「パノラマサロン」をオープンするとともに、昨年9月に専門店ゾーンを含めた大規模な売場改装を実施しました。また、主要駅において、高架橋柱耐震補強にあわせて構内店舗のリニューアルを進めました。

 上記の結果、営業収益は前期比2.7%増の1,958億円、営業利益は前期比0.7%増の75億円となりました。

3)不動産業
 不動産業においては、駅立地を一層有効に活用し、お客様の拡大につなげるため、主要駅における商業施設のリニューアルを進め、浜松駅「MAY ONE EKIMACHI(メイワン エキマチ)」等をオープンしました。また、保有資産の高度利用や有効活用の観点から、社宅跡地開発を推進し、本年3月に「NAGOYA CENTRALGARDEN(ナゴヤ セントラルガーデン)」において分譲マンションの引渡しを行うとともに、平成20年春分譲予定の「セントラルガーデン・レジデンス徳川明倫町」について着実に工事を進めました。また、「JR東海新横浜駅ビル(仮称)」については、平成20年の開業に向け着実に工事を進めました。

 上記の結果、営業収益は前期比7.5%増の625 億円、営業利益は前期比10.2%増の137
億円となりました。

東海旅客鉄道(株) (9022) 平成19年3月期決算短信

4)その他の事業
 ホテル業においては、名古屋マリオットアソシアホテルにおいて、引き続き客室の改装を実施するなど、多くのお客様にご利用いただけるようサービスの向上に努めました。

 旅行業においては、JR東海「50+(フィフティ・プラス)」会員に対する魅力ある商品や座席に余裕のある列車のご利用を促進するための商品を積極的に販売しました。

 上記の結果、営業収益は前期比9.9%増の1,594億円、営業利益は前期比6.2%増の
42億円となりました。


 次期の業績予想については、引き続き、鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、本年7月1日にN700 系の営業運転開始にあわせてダイヤ改正を実施するとともに、東海道・山陽新幹線直通「のぞみ」のN700 系による運転を順次拡大するほか、「エクスプレス予約ICサービス」や静岡地区において在来線ICカード乗車券「TOICA(トイカ)」を導入するなど、グループ全般にわたり、より質の高いサービスの提供、収益向上に努めることにより、営業収益は前期比0.2%増の1兆4,940 億円を見込んでいます。また、平成19年度税制改正等の影響による減価償却費の増加等を織り込み、営業利益は前期比6.6%減の3,760 億円、経常利益は前期比3.7%減の2,280 億円、当期純利益は前期比3.0%減の1,330 億円を見込んでいます。


2.キャッシュ・フロー等の状況

 当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、昨年4月に自己株式を取得し、これに伴う支出3,089億円があったことなどから、前期末と比べ1,359億円減の367億円となりました。

 また、長期債務については、上記の自己株式取得を勘案し、当初は単体で増減ゼロを計画していましたが、単体で400億円、連結では470億円を縮減し、当期末の連結の残高が3兆4,985億円となりました。

 1) 営業活動によるキャッシュ・フロー
  営業収益が増加したものの、期末の曜日配列の関係からJR会社間で清算している
 収入金の一部の入金が翌年度初となったことに加え、法人税等の支払額が増加したこ
 となどから、営業活動で得られた資金はネットで前期比508 億円減の4,270 億円とな
 りました。

 2) 投資活動によるキャッシュ・フロー
  固定資産の取得にかかる支出が増加したことなどから、投資活動の結果支出した資
 金はネットで前期比987億円増の2,183億円となりました。

 3) 財務活動によるキャッシュ・フロー
  社債発行及び長期借入による調達は増加しましたが、自己株式の取得による支出が
 あったことなどから、財務活動の結果支出した資金はネットで前期比814億円増の
 3,454億円となりました。


3.会社の利益配分に関する基本方針

 当社は、社会的使命の強い鉄道事業を経営の柱としていることから、長期にわたる安定的な経営基盤の確保・強化に努めるとともに、内部留保資金を長期債務の返済資金に優先的に充当することによって、財務体質の強化を図ることとし、配当についても安定配当の継続を基本方針としています。

 なお、当社は、機動的な資本政策の遂行を可能とするため、昨年4月5日に26.8万株の自己株式の取得を実施しました。

 当期の期末配当金については、各種施策の展開に加え、好調な経済状況もあり、下半期以降においても、輸送量は引き続き好調に推移したという状況を踏まえ、昨年10月に公表した配当予想1株当たり3,500円を500円増額し、4,000円とさせていただく予定です。

 また、次期の配当については、上記の基本方針に則って実施していく予定です。

 一方、会社法施行(平成18年5月1日)後における配当支払いについては、従来どおり毎年3月31日及び9月30日を基準日とする年2回の配当を継続することとし、特段の変
更は予定しておりません。


(2)企業集団の状況

 「事業系統図」については、最近の有価証券報告書(平成18年6月26日提出)から重要な変更がないため、開示を省略します。

 「関係会社の状況」については、最近の有価証券報告書(平成18年6月26日提出)からの重要な変更は次のとおりです。

(連結子会社)
┌────────────┬───────────┬─────────────┐
|            | 議決権の所有割合(%) |             |
|     名 称     ├─────┬─────┤    主な変更事由    |
|            |前連結会計|当連結会計|             |
├────────────┼─────┼─────┼─────────────┤
|            | 年度末 | 年度末 |             |
|静岡ターミナルホテル(株)|  76.6 |  100.0 |株式交換により完全子会社化|
|            |     |     |  (平成19年3月1日)  |
|名古屋         |  76.1 |  100.0 |      〃      |
|  ターミナルホテル(株)|  (0.8) |     |             |
└────────────┴─────┴─────┴─────────────┘
(注)「議決権の所有割合」欄の( )内は、間接所有割合で内数です。

 また、決算期後の平成19年4月1日に、静岡ターミナルホテル(株)を分割法人、当社を分割承継法人として、静岡ターミナルホテル(株)の資産保有事業を当社に吸収分割しています。


(3)経営方針

1.経営の基本方針

 当社は、鉄道事業において、安全・安定輸送の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させるという社会的使命を、長期にわたり安定的かつ十分に果たし続けていくことを基本方針としています。

 さらに、当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズの各事業展開に代表されるように、鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野を中心に事業の拡大を推進し、グループ全体の総合力強化を図ります。


2.中長期的な会社の経営戦略
 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、財務体質の強化を図りながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。

 東海道新幹線については、これまで世界に比類の無い安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの向上に取り組んでいます。今後についても、本年7月に営業運転を開始するN700系について、平成21年度までに42編成を集中的に投入し、すべての東海道・山陽新幹線直通「のぞみ」をN700 系により運転するほか、その後も引き続きN700系を投入することを検討していきます。また、列車運転用の電源設備の増強や新大阪駅におけるホーム増設等の改良工事を進めるなど、東海道新幹線のより一層の輸送基盤の強化に向けて取り組みます。

 また、鉄道以外の事業においても、「経営の基本方針」に則り、着実に推進します。

 長期的な課題として、当社は平成2年2月の運輸大臣指示を受け、中央新幹線の地形・地質等に関する調査を進めてきましたが、これからも全線にわたる調査を進めていきます。また、中央新幹線は東海道新幹線の役割を代替するもの、第二の東海道新幹線として建設されるものとの運輸省の公式見解を受け、またそれ故に将来実用線の一部となる山梨リニア実験線18.4kmの用地及び土木構造物は、それを経営責任分野とするJR東海の特別負担で建設するようにとの運輸省の要請のもとに建設・実験・開発を進めてきました。これまでの実験の成果として「超電導磁気浮上式鉄道について実用化の基盤技術が確立したと判断できる」との平成17年3月の国土交通省「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」の評価を受けています。これらすべての状況を踏まえて、山梨リニア実験線の設備を当社の自己資金3,550億円により実用化仕様に全面的に変更するとともに、42.8kmに延伸したうえで、超電導磁気浮上式鉄道の実用化確認試験を行っていきます。

 上記のとおり、首都圏〜中京圏〜近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営は当社の経営責任分野、すなわち使命であります。東海道新幹線の輸送能力がフル稼働に近く、サービス面でも完成度を高めた今日の状況に鑑み、当社としてはこの区間において十分な輸送力、質量ともにより高いサービスを実現するための第二の東海道新幹線、すなわち東海道新幹線の発展的、代替的バイパスをこれまでの地形・地質等に関する調査や山梨リニア実験線での成果、さらには42.8kmによる実用化確認試験をベースに、自らのイニシアティブのもとに推進・実現するべく検討を進めていきます。その第一局面として、先ずは平成37年(2025年)に首都圏〜中京圏での営業運転を開始することを目標としていきたいと考えています。

 長期債務については、引き続き経営の最重要課題の一つとして着実に縮減に取り組みま
す。



3.会社の対処すべき課題

 当社グループにおいては、鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、グループ全般にわたり、より質の高いサービスを提供するとともに、業務のさらなる効率化等により収益力の強化を図ります。さらに、重点的に取り組む施策の代表的なものは、以下のとおりです。

 鉄道事業においては、さらなる安全性向上を図るため、東海道新幹線全線を対象とした高架橋柱・盛土の耐震補強を可能な限り前倒しで実施するとともに、地震防災システムの機能改良として「東海道新幹線早期地震警報システム(テラス)」の検知点増設を本年9月までに完了し、使用を開始するなど、地震対策を強化します。在来線についても、車両に運転情報記録装置、緊急列車停止装置等の安全装置を本年度末までに設置するほか、ATS−PT(パターン照査式自動列車停止装置)の導入工事を進めます。

 東海道新幹線については、引き続きご利用の集中する時期・時間帯を中心に弾力的に列車を運行します。さらに、本年7月1日にN700 系の営業運転開始にあわせてダイヤ改正を実施し、東海道・山陽新幹線直通「のぞみ」のN700 系による運転を順次拡大します。加えて、東海道新幹線の輸送基盤をより一層強化するため、列車運転用の電源設備の増強工事や新大阪駅におけるホーム増設等の改良工事を進めます。

 在来線については、線区及びエリアの特性に応じた輸送体系の最適化に向けた取組みを進めます。また、平成16年の台風の影響によりバス代行輸送を行っている高山本線角川〜猪谷駅間について、本年9月に復旧を完了し、営業運転を再開する予定です。

 販売面については、昨年7月に東海道・山陽新幹線全線にサービス区間を拡大した「エクスプレス予約」について、一層の会員拡大に努めます。さらに、ICを活用した新しいサービス「エクスプレス予約ICサービス」の本年度導入に向けた取組みを着実に推進します。あわせて、在来線ICカード乗車券「TOICA(トイカ)」について、昨年11月の名古屋地区に引き続き、本年度の静岡地区への導入に向けて取り組みます。

 旅客関連設備については、駅を一層快適にご利用いただけるよう、東京、新横浜、静岡、名古屋、京都等の主要駅において改良を進めます。また、バリアフリー設備については、関係自治体等と連携し着実に整備を進めます。

 鉄道以外の事業においては、保有資産の高度利用や有効活用を図るため、「JR東海新横浜駅ビル(仮称)」の開発、社宅跡地の開発を進めます。また、主要駅において、高架橋柱耐震補強及び駅設備改良にあわせて駅構内商業施設のリニューアルを推進するなど、駅立地を十分に活かすことができる事業を積極的に展開し、当社グループとしての一層の総合力強化に取り組みます。

 地球環境問題については、鉄道本来の特性をより高めるべく、今後とも省エネルギー性能に優れたN700 系の投入をはじめとして地球環境保全に資する施策を積極的に推進し、地球環境への負荷が少ない鉄道を一人でも多くのお客様にご利用いただけるよう努めます。

また、「Eco出張」の浸透を目指し、積極的に情報を発信します。

(以下諸表略)