NEWS RELEASE:JR&私鉄 3 |
ほりうち(ccbu8181) 2009-10-30 20:04:00 |
別紙 2009年10月30日 国土交通大臣 前原 誠司 殿 北海道旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 中島 尚俊 東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 清野 智 東海旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 松本 正之 西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 佐々木 之 四国旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 松田 清宏 九州旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 唐池 恒二 日本貨物鉄道株式会社 代表取締役社長 小林 正明 「高速道路の原則無料化」について(要望) 平素は、私どもJR各社の業務運営に関しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、高速道路料金の無料化施策について、さる10月2日、国土交通省鉄道局長あて、広範かつ慎重なご議論をいただくことをお願いする要望書を出させていただいたところです。 その後、国土交通省の平成22年度概算要求において、「高速道路の原則無料化に向けた取組」として6,000億円が計上されました。「高速道路料金の段階的な無料化に向け、交通の変化、渋滞の発生、地域への経済効果等に関する影響を把握するため、無料化の試行などの社会実験を行うための関連経費」とされているものの、本施策について様々な問題点が指摘されているなか、必要な議論が不十分なまま性急に進められていくことを危惧しております。 特に、JRとしては、以下の2つが大きな問題と考えております。 まず第一に、既にJR各社は、「高速道路土日祝日上限1,000円」施策により、大きな影響を受けています。(財)運輸調査局が主催する「高速道路料金引き下げに関する研究会」が、本年9月28日にとりまとめた報告では、全国の土日祝日における鉄道利用者(主に新幹線や特急列車をご利用される方)の6.6%が自家用車に転換したと推計されており、JR旅客6社の試算では、全体で年間約250億円の減収が見込まれているところです。今後「高速道路の原則無料化」が実施されることになれば、単純に土日祝日上限1,000円の影響が全日に拡大するとしても、JR旅客6社全体で、約750億円の減収ということになります。JR貨物においても、「高速道路の深夜割引拡大」により既に年間約40億円の減収が生じていると推計され、無料化が実施されれば更に40億円を超える減収額が加わると見込まれます。 JR各社は会社発足以降、鉄道ネットワークの維持・充実に向け、経営努力を重ねてまいりました。しかし、「高速道路土日祝日上限1,000円」施策の影響により、既にご利用の少ない列車の短編成化などを実施している会社もあります。今後無料化が実施されれば、運行本数の削減、ひいては路線の休廃止なども検討せざるを得なくなる事態も想定され、地域の足として、私どもが担うべき社会的役割を果たせなくなることを憂慮しております。 また、鉄道のみならず、フェリー会社やバス会社など、生活インフラとしての公共交通機関の経営にも深刻な影響が及んでおり、航路の休廃止や路線バスの減便などが進んでいます。「高速道路の原則無料化」により、現在一定のバランスの上に成り立っている我が国の交通体系が大きく崩れる恐れがあります。 第二に、「高速道路の原則無料化」は、環境政策との整合性に欠ける施策と言わざるを得ません。「高速道路料金引き下げに関する研究会」報告によれば、「高速道路土日祝日上限1,000円」施策により、CO2排出量が年間204万トン増加すると試算されています。無料化された場合には、CO2排出量が更に増大することは確実です。現政権は「CO2排出量を2020年までに対1990年比で 25%削減する」という極めて高い目標を掲げており、物流部門も含め一層のモーダルシフトの推進が求められるなかで、本施策を実施することについては、時代に逆行しているものと考えます。 以上により、「社会実験」のあり方も含め、必要な議論が十分尽くされていないなかで、「高速道路の原則無料化」を実施することについては、見送っていただくようお願い申し上げます。 以上 |
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