No.914 (Re:904) 【国土交通省】7/24新山口駅構内事故でのJR貨物に対する不利益処分に係る通知
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2024-10-30 23:00:40  
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省                         Press Release
Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism

                           令和6年10月30日
                             鉄道局技術企画課

     日本貨物鉄道株式会社に対する保安監査の結果の公表および
            不利益処分に係る通知について

 令和6年7月24日に新山口駅構内で発生した日本貨物鉄道株式会社(以下JR貨物)の列車が脱線する事故が発生し、当該事故の調査過程で、JR貨物による作業記録の書き換え等の不適切事案が判明しました。

 これらの報告された事実を受け、令和6年9月11日から、鉄道事業法第56条に基づく保安監査を実施しました。

 その結果を、別紙「JR貨物の安全確保のために講ずべき措置」として公表します。

 また、以下のとおり、JR貨物に対する行政手続法に基づく不利益処分に係る通知を行いました。

○鉄道事業法第23条第1項の命令
  通知事項:弁明の機会の付与
  弁明の期限:令和6年11月6日(水)

 一連の経緯について:https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk7_000045.html


別紙
        JR貨物の安全確保のために講ずべき措置

                           令和6年10月30日
                                国土交通省

1.輪軸の圧入作業に関する不適切事案に関する経緯
 令和6年7月24日、新山口駅構内において、JR貨物の列車が脱線する事故が発生した。当該事故の調査過程で、JR貨物による作業記録の書き換え等の不適切事案が判明した。こうした作業記録の書き換えについては、輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、到底容認できるものではないことから、国土交通省において鉄道事業法に基づく保安監査を実施したところ、「2.確認された事実関係」に示す事実が明らかとなった。

2.確認された事実関係
(ア) 規程類に関する実態
・圧入力値に関する規定や、規定された数値を逸脱した場合の取扱等についての規程類がなく、職場内で口頭で引き継がれている事業所があった。
・規程類がある事業所のものは、本社が関与した体系的なものではなく、それぞれの事業所等が独自に定めていた。

(イ)現場における圧入作業の実態
・圧入作業の内容は、職場内で口頭で漫然と踏襲されていた、又は、規程類に規定されている車輪の圧入力値を逸脱して輪軸を使用していた。
・規定等から逸脱した輪軸をそのまま使用する運用が、長く職場内で口頭で漫然と踏襲されていた。
・工程、コスト、手間を惜しむ観点から、規程に定められた再圧入等の作業を怠った。

(ウ)係員の知識と教育の実態
・圧入力値の下限を下回ると問題であるが、上限を上回っても問題はないと認識していた。
・輪軸組立作業の知識に関する教育が体系的に行われていなかった。
・規定等を逸脱して使用した場合の安全上の問題について正しく理解していなかった。

(エ)作業記録の書き換えの実態
・作業記録の書き換えが可能であり、実際に書き換えていた事業所があった。
・圧入力値が規定値を逸脱した場合、事業所の管理的立場にいる者からの再圧入の指示を避けるため、書き換えていた。
・車輪内面間距離を管理していることから、圧入力値の上限を超えても問題ないとの認識のもと、上限を超えて計測された数値を上限値に書き換えていた。
・こうした認識や作業記録を書き換える運用は、職場内で口頭で漫然と踏襲されていた。

(オ)作業の管理の実態
・事業所の管理的立場にいる者が、輪軸の使用の可否に係る判断に必要な確認を行っていなかった。
・事業所の管理的立場にいる者は、輪軸組立作業に関わったことは無く、規程類に違反する作業や作業記録の書き換えに気づかなかった。

 以上の確認された事実関係は、鉄道に関する技術上の基準を定める省令第10条第1項、第87条第4項に抵触する。

3.JR貨物が講ずべき措置
 「2.確認された事実関係」を踏まえ、JR貨物が講ずべき措置を以下に記載する。
(1) 規程類の整備
 ・輪軸組立作業に関し、規程類を社内で体系的に整備すること
 ・規程類を適切に管理できる体制に改善すること
(2) 教育体制の改善
 ・輪軸組立作業に関し、体系的、計画的に教育を実施すること
 ・コンプライアンスに関し、体系的、計画的に教育を実施すること
(3) 作業記録の書き換えの防止
 ・作業記録の書き換えが容易に行われない仕組みを確立すること
 ・作業記録の重要性を周知するとともに、圧入作業に関する作業記録の管理体制を改善すること
・内部監査等の仕組みを検証し、不適切な取扱が見過ごされない体制を整備すること
(4) 安全管理体制の点検と見直し
 ・同様の問題が他の作業や部門で無いか点検し、必要な見直しを行うこと

4.報告期限
 3.(1)〜(4)について、措置を講じ、又は、措置を講ずるための計画を策定し、3.(1)〜(3)については、令和7年1月31日までに、3.(4)については、令和7年3月31日までに報告すること。
発言URL: https://www.railforum.jp/ftrain/app/bbs.php?Xbno=114&Xvno=914