No.768 【国土交通省】第23回「日本鉄道賞」決定:大賞に特急「やくも」273系
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2024-09-07 01:26:17  
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省                         Press Release
Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism

                             令和6年9月6日
                            鉄   道   局
                            鉄道サービス政策室

    第23回「日本鉄道賞」の受賞者が決定しました!


【日本鉄道大賞】
西日本旅客鉄道株式会社
 「特急「やくも」〜沿線の文化・風景・自然とお客様、鉄道が交感する列車〜」

【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞】
Rail DiMeC研究会
 「鉄道の災害医療への活用(病院列車構想)」
九州旅客鉄道株式会社
 「ATS-DKをベースとしたGOA2.5自動運転実現について」
宇都宮市、芳賀町、宇都宮ライトレール株式会社
 「HELLO,NEW CITY. 芳賀・宇都宮LRTライトライン」
東武鉄道株式会社
 「『挑戦』と『協創』により沿線地域のすばらしさを発信する
         新たなフラッグシップ特急〜プロジェクト「SPACIA X」〜」


 「日本鉄道賞」は、「鉄道の日」創設の趣旨である鉄道に対する国民の理解と関心を深め、国民の強力な支持を得るとともに、鉄道の一層の発展を期することを目的としており、鉄道に関する優れた取組に対して表彰するものです。

【選考の方法】
 日本鉄道賞表彰選考委員会において、全応募案件(計22件)の評価により、ヒアリング対象案件(計7件)をスクリーニング。応募者よりオンラインでのヒアリングを行い、改めて各委員が評価・議論の上、選考を行い、受賞者が決定されました。選考理由については別紙をご参照下さい。

【日本鉄道賞表彰選考委員会委員】(50音順 敬称略)
    ^井 貴志 ((有)マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ会長)
    久野 知美 (フリーアナウンサー/タレント)
委員長 古関 隆章 (東京大学大学院工学系研究科教授)
    竹内 健蔵 (東京女子大学現代教養学部国際社会学科教授)
    綱島  均 (日本大学生産工学部機械工学科特任教授)
    中村 直美 ((株)交通新聞社 常務取締役)
    原  潔  ((一社)交通環境整備ネットワーク代表理事)
    藤井 聡太 (公益社団法人日本将棋連盟 / 棋士)
    五十嵐徹人(国土交通省鉄道局長)



【日本鉄道大賞】                      (別紙)
西日本旅客鉄道株式会社
 「特急「やくも」〜沿線の文化・風景・自然とお客様、鉄道が交感する列車〜」


(選考理由)
 鉄道は単なる移動手段ではありません。鉄道が持っている「つながる」という機能は、人と人、地域と地域、ひいては文化もつなげるという大きな役割があります。山陽エリアと山陰エリアを結ぶフラッグシップという位置付けの特急「やくも」は、この機能を最大限に発揮できる車両であると考えられます。
 半個室空間のセミコンパートメントでは、沿線の雄大な自然風景を大きな窓から楽しみながら、家族やグループで旅行が楽しめます。また、「やくもブロンズ」というオリジナルカラー、駅やホームでも「やくも」を楽しむ工夫など旅が一体化され、あらゆる場所に「つながる」機能が発揮されています。これにより、乗る前からワクワク、乗ってワクワク、着いてからワクワクできます。
 また、技術面からも、衝突対策、異常挙動検知システムの導入や車上型制御付自然振り子方式による曲線通過時の快適性向上、様々なバリアフリー対策など革新的な技術が多く取り入れられています。
 特急「やくも」は、鉄道が持っている「つながる」という機能を「点と線」から「面」へと広げ、地域の活性化にも大きく貢献することができます。
 以上により、選考委員会は本事業を特に高く評価し、ここに日本鉄道大賞を授与します。


【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞 「病院列車構想」特別賞】

◎Rail DiMeC研究会
 「鉄道の災害医療への活用(病院列車構想)」


(選考理由)
 2024年は、1月の能登半島地震や8月の日向灘地震、また台風の襲来による大雨被害が全国各地で多発しています。
 被災地からの報道では、被災した建物や脱線した鉄道の映像などがセンセーショナルに紹介されますが、Rail DiMeC研究会では被災していないぎりぎりのところまで、翌日には鉄道の利用が再開されている事実に着目し、その境界駅を医療搬送中継駅と定めました。救急車やドクターヘリは被災地内での患者搬送に集中し、中継駅に運ばれた大量の災害弱者を鉄道で被災地外の病院へピストン輸送する方式を考えました。
 これまでに、電車内に簡易手術室と最新医療機器を設置し、走行中の急ブレーキや急カーブでも、どの程度の医療行為が可能か、現場で外科医が確認しました。一方、各地の救急車両を中継駅まで組織的に貨物輸送するための、鉄道コンテナへの積載実験も貨物駅で進めています。
 災害医療の輸送手段として、「鉄道の新たな価値」を提唱してくれた「鉄道の災害医療への活用」(病院列車構想)に期待を込めて、ここに「病院列車構想」特別賞を授与します。

【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞
 「人に優しい鉄道の自動運転:世界初GOA2.5の実用化」特別賞】
◎九州旅客鉄道株式会社
 「ATS-DKをベースとしたGOA2.5自動運転実現について」


(選考理由)
 労働人口および沿線人口減少を背景に、鉄道における機械化、自動化を推進する一環としてドライバレス自動運転が重視されるようになりましたが、鉄道自動運転は、21世紀になり、海外の都市鉄道を中心に、乗務員がいない列車運転を許す完全自動運転を自動化レベルGOA4として数多くの実用例を見る中、わが国の普通鉄道ではワンマン運転:半自動運転GOA2があるのみでした。
 乗務員の前頭乗務を求めぬドライバレス運転:GOA3等の実用化を目指す検討を活発に行う中で、国際標準に運転士免許を持たない前頭乗務員を置くGOA2.5という新たな自動化レベルを日本独自に設定しました。JR九州は間欠配置地上子を用いた列車位置情報に基づくATS-DKという既存の安全システムを基本に、大きな地上追加投資を行わず自動運転を行う技術を確立し、2024年3月にGOA2.5の商用運転を開始。これは、都市部以外への普及も可能な、人にやさしい日本独自の鉄道自動運転を世界に向け発信するもので、実用化150周年を迎えた日本の鉄道技術の新たな歴史を拓く価値の高い実績なので、ここに「人に優しい鉄道の自動運転:世界初GOA2.5の実用化」特別賞を授与します。


【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞 「LRT雷らい都と未来」特別賞】

◎宇都宮市、芳賀町、宇都宮ライトレール株式会社
 「HELLO,NEW CITY. 芳賀・宇都宮LRTライトライン」


(選考理由)
 芳賀・宇都宮LRTライトラインは、導入構想から約30年の歳月を経て、2023年8月宇都宮駅から芳賀・高根沢工業団地間14.6キロを開業しました。
 宇都宮市は、ネットワーク型コンパクトシティの実現を目指し、将来に亘っての市民の有効な交通手段としてLRTを選択、芳賀町と共に整備事業を進めてきました。
 開業すると、スタイリッシュな車両は、環境と人に優しい乗り物として市民を魅了し、日常の大切な移動手段としての地位を得たのみならず、その走る姿は街の景観を構成する大事な要素にもなっています。
 都市の基幹インフラとして、まちづくりにLRTを位置づけ、東西交通軸として更なる発展が期待される本事業を高く評価し、ここに「LRT雷都未来」特別賞を授与します。


【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞
 「多様性に応える、時代に即したエンターテイナーな特急列車」特別賞】
◎東武鉄道株式会社
「『挑戦』と『協創』により沿線地域のすばらしさを発信する
 新たなフラッグシップ特急〜プロジェクト「SPACIA X」〜」


(選考理由)
 100系スペーシア誕生以来多くのお客様に親しまれている個室空間をはじめ、日光東照宮をはじめとした日本の伝統モチーフによる演出、最大限旅を楽しむための最新システムを融合させたスペーシアX。伝統と革新を掛け合わせた当列車は、新しい時代を象徴するフラッグシップトレインとして、デビュー以来、国内外より多くの方に支持され続けています。
 全国的には減少の一途を辿る車内販売や、カフェスペースの設定、伝統の個室だけでなく半個室からコックピットスイートにプレミアムシートなど座席種類の豊富さは、旅の選択肢を広げると同時に、何度も沿線に足を運びたくなるエンタメ性をも兼ね備えています。車内で提供される限定メニューは、沿線の店舗へ協力を仰ぎ、“地元の皆さんと一体になって作り上げる観光列車”としての側面もあり、関東エリアでも指折りの新時代を担う特急列車として、その在り方を示すロールモデルになりうることと思います。
 日々、研鑽を重ねブラッシュアップを続ける当列車が、今後、首都圏エリアの鉄道観光のシンボルとなり、ますます発展していく可能性に期待して、ここに「多様性に応える、時代に即したエンターテイナーな特急列車」特別賞を授与します。
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